第32話「中指を立てて横切る男」
これまでタクシーを運転していて中指を立てられたことが何度かある。
「そんなにタクシーが嫌いか?」
という言い方もしたいが、
見方によっては
「お前が悪い運転をしているからじゃないか?」
という受け取り方もされかねない。
だからあまり強く言いたくはないし、客観性を失わずに慎重に言う。
その中指を立てられたところは明治通り。
もし東京にいて、そこを歩いたり車で走ったことがある人は分かると思うが、車道と歩道はきちんと分離している。
歩行者が歩道を歩き、車が車道を走っていれば
何も邪魔することはない。
僕が偶然止まった信号で、その男は横断歩道を渡っていた。
状況的に、この前にこちらが何か嫌な思いをさせたか?
ということを考えても歩道と車道と別れているからここが初対面。
じゃあ、横断歩道に乗り上げて邪魔をしたかというとそうでもない。
強いて言えば、停止線に乗っかっていたところはある。
それくらいで、という言い方をしたくはないがちょうどそこは信号が複雑な形をしており赤のタイミングが分かりづらいところだった。
更に渋滞中。
普通の交差点でも、タイミングによっては
停止線を越えそうになることもある。
こちらは何もしてないと言ってもほぼ間違いないところで
(本当はそんな言い方したくないけど)
あえてタクシーの目の前を通り
中指を立てて横切って行った。
そういうことしそうな、中途半端な輩だったから
ただの憂さ晴らしだったのだろう。
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