第31話 「おばさまの息抜き」

おばさまをお乗せした。


乗ってきて、行き先を告げるとすぐに喋り始める。

お「運転手さんは病院に入院したことある?」


運「僕はないですね~、あっても1歳とかぐらいなので記憶は無いです。」


お「そうなのね~、私はいま65になるんだけどね、周りがもう葬式か病院かで、まあしょうがないんだけど」


運「そうですか」


お「それにうちは老々介護をしているのよ、母が92歳になるものだから、認知症で1よ。」


運「そうなんですね~」


よくわからず返事したが、おばさまの言いたかったのは“認知症の要介護1”ということかもしれない。


お「母にはお世話になったから恩返しはしたいけど、

やっぱりたいへんよね~」


運「う~ん、、なんか介護業界も人手不足とかなんとかって言いますよね」


お「そう、介護してくれても毎日じゃないから。やっぱり毎日一緒にいると大変よ。どこかに入れたいんだけど、でもそれはやっぱり、、、ねぇ」


運「そうですよね~」


お「うちの父はね~、84歳の時に亡くなったのよ。正月三が日飲み歩いて4日に倒れたと思ったら5日に亡くなっちゃった。」


運「そうですか~」


お「もちろん悲しかったけど、やっぱりそうやって私も迷惑かけずにいなくなりたいものよね」


運「そうですね~」


その後も、話題を3つ4つ止まらず話していた。

降り際、

お「なんか、いろいろ喋っちゃってごめんなさいね」


全然いい。

多少は息抜きの場所になれたかな。


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