第14話 「笑わせてくれたから?」

東京のタクシーは初乗りそのままのワンメーターで410円になる。


正直言って売上としては微々たるモノ。


そんな410円が7,000円に変わる出来事があった。


東京駅付近で母娘をお乗せし、行き先はそこから2,000円程になる場所。


道も走りやすいコースにだったため、気楽にお送りしていると

目的地寸前までメーターを押し忘れて空車で走っている。


やってしまった!!!


2,000円近い売上が全部パー!


そこで気付いて実車に変えても100m先が目的地。

料金は410円。


あ~、と凹む感情が湧きたつ前に

後ろからお母さんの笑い声が聞こえてきた。


母「あれ、今押しちゃいました?(笑)」


私「はい~、たまにやるんです」


母「は~っはっはっは」


大爆笑してる。


母「え?売上ほぼゼロってことですか?」


私「はい~(笑)、ボクの責任なのでしょうがないです~(笑)」


母「は~っはっはっは、おもしろーい」


私「お客様、料金は410円で結構です」


母「いやいや、払いますよ、これじゃ大変でしょ」


私「いえ、たまにあることなので」


母「いえいえ、もともと払う料金ですから」


私「いや、提示された金額以上は・・」


母「なんなら、これでラーメンでも食べてください」


私「え!良いんですか?すみません。」


母「面白かったんで」


私「うぁー!ありがとうございます!」


お札を3枚置いていった。


いつも利用するから2,000円程掛かる距離だと分かっていて払ってくれた。

その上チップまで。


なんてラッキーだ、と思い降車したあとお札を手に取ると

一番下のお札は五千円札!


「え!?まさか!!」


間違いだと思い、すぐに降りて追いかけるも

建物内に入っていき、見当たらなかった。


確認は出来なかったが、

さすがに「これでラーメン食べて」で5,000円出す人いないよな~。


410円が7,000円になった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る