第6話 全力徒歩のおばさん

60代ぐらいのおばさんが乗ってきた、目的地は銀座の三越。


乗って来た瞬間に何かを感じた。

少し気難しいというか、人を見下している感じ。


「こんにちはー」と最初の挨拶をしてもなにもない。

そしてたぶん、不機嫌。


目的地に着きお会計をしていても、まぁ不機嫌。

そんなこと何度でもあるから、

ムカつくどころか優しく接してお会計をした。


そして扉を開けると、急に全力徒歩で車から去っていく。


「そんな急いでた?」ってくらい急に急ぎだす。


走ってはいない、めちゃめちゃ全力で歩いて去っていく。


そして、体を乗り出し後ろの忘れ物確認をすると、

一辺で2,30㎝くらいの紙袋がイスの上に置いてあった。


「ゲッ!!忘れ物!!」


これ気づかないか?というほど大きい忘れ物。

「お客様ー!!」


声を掛けるがおばさんは全力徒歩で去っていく。


その間、ほんの1,2秒ほど。


結局おばさんは去っていった。


後ろの席を開けて、その紙袋を覗くと、、


何も入ってない。。。


「やったな!!あいつ!!」


すぐに気づいた、なぜ全力徒歩で人込みへと入っていったのか。。。


だって、「お客様ー!」って言ったら

全力徒歩から少々小走りに速度あがったもん。


二回、「お客様ー!」って呼んだんだけど、

一回目は全力徒歩から少々小走り。

二回目は少々小走りから前かがみの少々小走り。


たぶん、スピードを上げるために前かがみになったんだと思う

だけどスピードは変わってなかった。


全力で徒歩してた。

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