第2話 お持ち帰りをしたい男

雨が降る深夜、六本木で男女が乗って来た。

男は酔っ払い、女はほろ酔いだが冷静。

最初は男だけがタクシーに乗り、

女は歩いて帰るからと歩き出す。


同じ方向だし雨だから、と男は女をタクシーに乗せる。

男は相当酔っぱらっているのか、酒臭い。


二人でお酒を飲んだ帰りらしく、

車内では飲みに行ったお店の話をしていた。


次第に男は女を家に誘う。


どれだけ誘っても、女は拒む。

嫌悪感丸出しで「明日は早い」が嘘にしか聞こえない。


頑なに拒む女は、途中で降りていった。


男は何度もため息を吐く。

車内は酒臭さと

それ以上の絶望の空気に包まれる。


まだ男の目的地は聞いていない。


しまった、気まずい。汗


気を遣いながらそ~っと声を掛けた僕の口から出たのは




ホ客さま~。。。。笑




気を遣い優しく声を掛けようと発した言葉に笑いそうになったが、

その空気の中で笑うことほど怖いモノはない。。


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