第3話「爆発音のようなクシャミをするおばさん」

酔っ払いや、汚れた服装、

車の運転を邪魔するような輩は絶対に乗せたくない。


「近くてごめんなさ~い」

花粉の季節、力士ほど恰幅の良いマスク姿のおばさんが乗って来た。


乗ってから、車内は微かなラジオの音だけが聞こえる静かな空間。


「・・・・・。」


その時、後ろから大きく息を吸う音が聞こえた。


「ハァーー!!」


マスクしていても車内のすべての空気を吸い込むんじゃないか

というぐらい大きく吸い込み、出てきたのは


「ダァーーっくしょん!!!!」

タクシーが揺れ、爆発したかと思うくらい大きなくクシャミ。


その後すぐに、


「ハァーーー!!」


また吸い込み、


「ダァーーっくしょん!!!!」



私「(デカイくしゃみ!!)」


またその後すぐに、


「ハァーー!!」


吸い込み、


「ダァーーっくしょん!!!!」



三秒おきに爆発音のようなクシャミが襲来する。


こちらが、頭で感想を思い浮かぶ前に


「ハァーー!!」


吸い込み、


「ダァーっくしょん!!!!」



あまりの大きさと、テンポの良さに笑いが堪えきれず、

口元は緩み、鼻息と共に肩がトトトトンと揺れる。


するとまた、


「ハァーー!!」


「ダァーっくしょん!!!!」



止まらない。


そしてまた、


「ハァーー!!」




「・・・・・」




「(・・・止まった!?)」




「ダァーーっくしょん!!!!!!」



一段とデカイ!!!




目的地はワンメーターで近いが、笑いをこらえようとしているせいか、

時間が以上に長い。




その間もまだ続く、


「ハァーー!!」


私「(助けて~~笑)」


「ダァーーっくしょん!!!!」



私「(笑わないように笑わないように)」




「運転手さん、あそこの、、ハァーー!!」


私「はい、えっ・・・」


「ダァーーっくしょん!!!!」



私「(ダメだ~~~~笑)」




気付かれてもおかしくない程反応してしまった。


そして、酔っ払いの対応をするよりも疲れて

ようやく目的地に到着。


お会計中も三秒に一度


「ダァーーっくしょん!!!!」



タクシーを降りて、


「ダァーーっくしょん!!!!」



三歩歩いて、


「ダァーーっくしょん!!!!」



仁王立ちで、


「ダァーーっくしょん!!!!」



走り去っても、


「ダァーーっくしょん!!!!(遠くで小さく)」



ずっとクシャミを続けていた。




笑い堪えるためにめちゃめちゃ疲れたが、

絶対また乗せたい。




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