第3話 にがうり

 にがうりが好きだ。薬膳的に言うと、にがうりは「寒性」で、私の身体に合っている。8月、5本頂いた。


「うわ~! にがうり大好き! ありがとうございます!」


 と、子供のように喜ぶ私を、仕事先の方々は、優しく微笑み見守った。


 頂いたにがうりを、ルンルン♪ とか思いながら持ち抱え、仕事終わりに見えた月は綺麗だった。


 人間って、好きな食べ物でどうしてこうも幸せになれるんだろう? やはり『好きなものを食べる』は大事だ。


 さて。


 にがうり――別名ゴーヤ。ゴーヤチャンプルーを作るのも大好きだ。といっても、いつも冷蔵庫に残っている材料で、色んなゴーヤーチャンプルーなものを作ってしまうのだが。


 もやし、豆腐、なす、など、とりあえず体の熱を取るものを多めに入れ、炒め、昆布のめんつゆで味付けをし、卵でとじる、と思いきやのタイミングでかき混ぜれば、ちょうどいい具合に出来上がる。


 それをチャンプルーと言うのだろうか? チャンプルーと書いてあった商品を食べ、なんとなくそれに似せて作るその工程はそんな感じで簡単だ。


 ゴーヤチャンプルー的なものを作る前に、冷蔵庫からゴーヤを取り出し、まな板に乗せ眺めると、毎回一瞬、無になる。なぜゴーヤが、怪獣のような外見なのかは腑に落ちないからだ。あのイボイボしたところに、大量のビタミンCが入ってるんだとか。


 でも……、変なの、と思う。


 それから、ゴーヤを縦に半分に切り、中のワタをスプーンで取ってから、薄切りにする。ちゃんと塩を振り、もんで、ぎゅっと絞り、苦味をある程度取る。


 時々、面倒になると、このギューッと絞る苦味を取る工程を若干サボる。そうすると非常に苦いゴーヤチャンプルー的なものが出来上がる……。当たり前だ。


 でも私は、本当はそれが好きだ。脳が、「苦味をもっと苦味を!」と何故か要求しているのを常々感じている。


 夫は、あまりゴーヤも、苦いのも好きではない。しかしゴーヤが身体に良いので、つまむ程度に食べる。だから、夫のためになるべく苦味を取ろうと努力をする。


 が、「そんなに好きじゃないなら、つままなくてもいいんじゃない? それに、ちょっとだけしか食べないじゃない?」という思考が働き、誘惑に負け、苦いゴーヤチャンプルーを出すことがままある。


 そんな時、そのゴーヤに夫は箸をつけない。私が勢いよくバクバク食べているので、もしかしたら苦いゴーヤだと勘づいてるのかもしれない。


 「早く平らげてしまって、ギューッと絞るのをサボったと気づかれないようにしよう!」という目論見のもと食べているので、勢いが違うのだ。


 5本頂いたにがうりを使い、ほぼ1週間続けてゴーヤチャンプルーを食べ続けた私。肌が綺麗になったのを確認し、ますますゴーヤLOVEである。


 にがうりは、夏バテ防止、目の充血や痛み、口内炎や吹き出物、腫れ物、急性の下痢にも有効です。

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