初依頼3

ドーンと音を立て、炎の矢は当たった。

父親はまだ生きてるのか?焦るシャルル。

段々と煙が晴れそこを見ると無傷の白いローブの2人組。シャルルは驚愕した。


「なぜ‥」


シャルルの弓は部族間抗争の時などにも猛威を奮った。遠距離から一方的に攻撃でき、スキルを使えば威力も申し分ない。故に自信があった。

無傷の白いローブの小さい方が杖をこちらに向けていた。


「ギリギリってやつ?褒めてよねークルド!」


白いローブの大きい方―――クルドが答える。


「はいはい、助かったよフリージア」


クルドはどこからか短剣を取り出し、

両手に一つずつ構え、シャルルに向かって投げる。


〘クレイジーダガー/イカれた短剣〙


シャルルは飛んできた短剣を横に飛び、間一髪かわした。

だか地面に刺さった短剣は刺さった途端爆発した。

シャルルは爆発の余波に巻き込まれふき飛ばされる。

ふき飛ばされた先の木にシャルルは激突する。

傷だらけになりながらもシャルルは立ち上がろうとする。

クルドは殺せたと思っていたらしく残念な顔をする。


「あれ?生きてるじゃねーか」


白いローブの小さい方―――フリージアは珍しいモノを見たかの如くはしゃぎ始める。


「いるじゃん?マシなやつ!」


「そりゃ一人ぐらいいるだろ?他の獣人たち、この森の大半は片付けちまったけど」


シャルルは立ち上がり弓を構え、丸腰なクルドに向かって矢を放つ。


〘ホーリー・アロー/聖なる矢〙


矢はクルドに向かう。

フリージアは杖を構え、呪文を唱える。


〘ホーリー・ウォール/聖なる壁〙


光の壁に阻まれ、矢はクルドに当たることはなかった。

クルドはまたも短剣を投げる。シャルルは先程より、大きく避けた。避けた先で短剣が爆発する。


「あら、ばれてら」


シャルルは考える、女が盾役か。コイツらは二人で攻防一体だ。

どうにかして引き離さなければ。だが、もう一度短・剣・をくらったらもう立てないだろう。シャルルは魔法の才があったわけではない。だがシャルルは弓を効率的には使ううちに自然と少しの魔法が使えるようになった。そのことは父親以外には話していない。これにかけるしかないな。木の裏に隠れる。呪文を唱える。


〘エンチャント"サイレント/消音" 〙

〘エンチャント"ブースト・ダブル/強化・2段回"〙

〘ホーミング・アロー/誘導の矢〙


矢を天に向かい放つ。

そして、木から飛び出し走りながらクルドにまたも矢を放つ。


〘ラピッド・アロー/速射の矢〙


またもや、フリージアの魔法に阻まれる。

それでもシャルルは撃ち続ける。ひたすらクルドを狙い少しずつ距離を取る。すべてフリージアの魔法に阻まれる。その光景は作業にしか見えない。クルドは飽きてきたのか、短剣を構え走り出す。


「もういいだろ、これ以上時間かけてたら上から怒られちまう」


クルドがシャルルの前までくる。短剣を振りかざす、シャルルは避ける。避けられることをわかっていたのか短剣を投げる。今度は避けられない。シャルルの腕に短剣が刺さり爆発する。シャルルは吹き飛ばされる。吹き飛ばされながらもシャルルは笑う。


かすかに息があるが動けないシャルル。重傷だ。

この傷では遅くないうちに死ぬ。

そう思いフリージアの元に戻ろうと振り返る。

クルドはフリージアを見て驚愕した。

そこには矢と思えない太さで貫かれたフリージアが。すでに息絶えている。


シャルルは誘っていたのだ。コレを。

ただ、シャルルにも誤算があった。

本来は、クルドごと貫けるつもりであった。

だがフリージアの防壁は彼女自身にもかかっていた。

故に硬く、フリージアのみしか貫けなかった。

クルドは苛立ち、シャルルの元にまで歩く。

改めてとどめを指すために。


「やってくれたな猫娘がぁ‥」


クルドは力任せにシャルルの首をはねようと振りかぶる。


ボトリッと首が地面に落ちた――



――クルドの首が。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る