集まり
その日、
この日集まったのは三十名。これは、ただの結婚報告にしては異例なほどの集まりである。重蔵がいかに慕われ尊敬されているかということの表れだっただろう。参加しなかった者もあくまで仕事を優先しただけであった。
ここでは、仕事こそが何より優先される傾向もある。何しろ全員が手分けして己の役目を果たさないと維持できない世界なのだから。十三歳で成人とされるのも、それ以上、ただ守られる存在でいることが難しいからという面もある。守られる側から守る側へと早々に成長してもらわないと困るのだ。なのでニートなるものは存在しない。
それに、ここの社会は基本的に仕組みが単純である。おそらく、小学校を卒業する程度の知識があれば暮らしていく分にはそれほど困らない。なにしろ、決められたことを守らなければ待っているのは<死>である。それも、誰かが手を下す訳でもない。本人が勝手に死を招くだけだ。
死なないように気を付けろということがこの世界のルールの基本だった。実にシンプルである。他人に恨まれれば生きる上で不利になる。だから恨まれるようなこともしない。セクハラもモラハラもパワハラもない。だから働きやすいというのもあるだろう。ただし、自らの仕事に対しては責任を持つ必要もあるが。
そういう訳で、結婚の報告の集まりを仕事を理由に断ったところで怒られもしないし不快にも思われない。なのに重蔵の為にたくさんの人間が集まった。あくまで自主的に。それほどだということである。
いずれにせよ無事に結婚の報告は終わり、ささやかな酒宴の後、
そして翌日、当たり前のように氷窟を掘り進める
そこにあるものをまず確認し、それから今度は
救難信号を発信する為の通信施設を。
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