夢
『ゆっくり確認させてもらおう』
そう言った
「私は現在、<お試しモード>で稼働中となっております。私のすべての機能をご利用になさりたい場合は、ユーザー登録が必要となります。ご了承ください」
それに対して舞華が問い掛ける。
「ユーザー登録には何が必要だ?」
<あさぎ>が応える。
「はい。私をご購入いただきました際に添付されておりました小冊子に記されたユーザーコードと共に、行政への登録用のコードが必要となります。<行政への登録用のコード>につきましては、販売店などでご確認ください」
「それがなければ、ユーザー登録はできないということか?」
「大変申し訳ございませんが、私共メイトギアをご利用いただくには取得税の納入と行政への届け出が義務となっております。ご了承くださいませ」
「では、ユーザー登録をしなければ使えないということか?」
「ユーザー登録がありませんと、私の機能のごく一部しかご利用いただけません。また、<お試しモード>につきましては、十二時間が期限となっております」
「それが終わるともう使えない?」
「<お試しモード>をご利用いただく場合には、その都度、仮のユーザー登録が必要となります。こちらは、ご本人のお顔とお名前が確認できれば可能です」
「つまり、十二時間ごとにその<仮のユーザー登録>とやらをすれば、こうやってやり取りくらいはできるのだな?」
「はい。その通りでございます」
「ならいい。お前を試すにはちょうどいいという訳だ」
舞華はそう言って笑みを作った。そしてその場にいた全員をぐるりと見回し、
「では、私の責任においてこの<メイト>をしばらく試すことにする。それでいいな?」
ときっぱりと言った。
千治はもちろん素直に頷いて、
そしてその夜は、メイトを
その頃、
それは、彼女が<ねむりひめ>と名付けたメイトと共に氷窟を掘り進め、遂には地上へと達するという夢だった。
彼女の夢の中の地上は、光に包まれ、とても暖かく、でも何もない世界であった。
今の世界しか知らない
彼女にとっては、<こことは違う世界>とは、ただ単に氷に閉ざされていない世界というだけでしかなかったのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます