搬出
『重いな…』
床に寝かせる為に抱えた時、人間の形をしていることから人間を抱き上げる要領で抱えようとしたが、それはやはり人形のようにまったく姿勢を崩すことがなかった。表面は人間の皮膚や服のように柔らかさもあるのに鉄の棒が芯になっているのかと思うほど中は固かった。重量も、華奢そうに見えながら見た目よりははるかに重い。身長としては
『人間とはだいぶ違うな…』
<メイト>が機械であることは分かっている。それも、今ではどのようにして作られたのかまるで想像すらできない程に複雑で精密だった。かつて発見されたメイトは壊れていたらしく全く動かなかったのだが、どこがどう壊れているのかさえ掴むことはできなかったという。
しかし、こいつは確かに動いた。バッテリー残量が三パーセントを切ったというようなことを言っていたから充電さえすればまた動く可能性がある。もしこれが本当に<メイト>でちゃんと動くなら、本当に世界がひっくり返るかもしれない。こんなものが人間のように喋ったというだけで、重蔵はこれに途方もない秘密が秘められていることを感じた。正直、指を失って人生の終焉を迎え、枯れ果てたと思っていた自分の中にざわざわとしたものが湧き上がってきてしまうのさえ感じてしまった。
『まったく…今さらこんなものを見せられるとか、残酷だぜ…』
マスクの下で苦い笑みを浮かべ、ハーネスを付け終えてフックにワイヤーを掛け、それが確実にかかっていることを確かめ、重蔵は
合図を見届けて、
更に氷窟の天井部分に付けたアンカーに掛けた滑車に<メイトと思しきもの>の頭が着きそうになるまで慎重に引き上げて、
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