村長
「よし、これで行くぞ…」
四人は黙って頷いて、重蔵と
万が一滑り落ちて巻き込まれれば命にも関わる。だから前の方が危険だし、万が一の際には手を離すように、
もう役目も終わりに近付いていると考えている重蔵はともかく
それでも事故が起こらないのに越したことはないので、上る時の倍以上の時間を掛けて慎重に進み、氷窟の出口に辿り着く頃には既に夕食の時間を過ぎていた。後は
ここで油断して事故でも起こせばすべてが台無しになるということで、最後まで気を抜かずに作業を行う。すると、櫓の下に何人かの人影が見えた。その一人は
重蔵が残ってクレーンを操作し、
百メートルの高さからだったが、ここは地下の閉鎖された空間なので、殆ど風もない。空洞の上部と下部で温度差があり空気の対流が起こっていることでまったくないという訳ではないが、僅かに空気が動いているのが分かる程度だった。
だから風であおられることもなく、無事に台車に<メイトと思しきもの>を下すことができた。
「これがメイトか…?」
村長の
「まだはっきりとしたことは言えないが、見た限りではその可能性は高い…」
千治もフードの奥から明らかに興奮している目で見詰めながら応えた。
そんな二人の様子に、発見者である
「大変なものを見付けたな、
美園が真っ直ぐに視線を向けながら言った。彼女は、
現在この世界では、三十人から五十人単位で<村>が作られ、二十から三十の村が集まって<町>を形成し、七十の町が<市>を成していた。
そして、それが今は世界の<全て>である。
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