【GM用】シナリオ

【特殊ルール】

本シナリオでは、ボスの持つ7つの「無垢なる石」の効果で合計7回まで古都若菜のロイスがタイタスになった時にそのタイタスはロイスに戻る。


【オープニングフェイズ】

・シーン1:存在価値 PC①

北へと進む船の中。あなたは椅子に腰かけ、モニターに映る霧谷雄吾の話を聞いていた。

霧谷:「…というわけで、皆さんが島に降り立った後、我々は皆さんのサポートを十分に行えない可能性が高いと思っていてください。疑問点があれば今のうちに、解決しておいてください。」

霧谷の話を聞きながら、あなたは過去の回想に耽っていた。


―PC①の回想―

PC①は古都若菜と同じUGN施設で育った。施設の外に出られないあなた達にとって、世界とは一階に訓練室3つと食堂が1つ、二階に寝室が並ぶ鉄筋コンクリートつくりの箱と周囲を壁に囲まれた前庭、ただそれだけだった。

そんな世界でただ1人自分とは異なる(性別、年齢、能力などPC①のパーソナルデータと異なる点を1点挙げればよい)ものをもつ若菜にあなたは興味を持った。

今日のあなた達はUGN教官の久城晴斗の訓練を受けていた。


晴斗:「よし、今日は2人組になって訓練するぞ!余ったやつは、にーちゃんが組んでやるからな!」


しかし、晴斗が指導しているチルドレンは偶数である。晴斗はそのことに気付くと、少し頬を染めて、ごまかすように大きな声で続ける。


晴斗:「今回の訓練はオーヴァードが戦う時に重要になる、カバーリングの練習だ。今からにーちゃんが、お前たちに向かって射出機を使って攻撃をする。それをパートナーの盾になって防ぐんだ。大丈夫、威力は俺がちゃんと調整するから心配はいらないぞ。」


若菜:「よろしくね、PC①君(さん:以下PC①の性別に合わせるがここでは「君」の表記で統一する)。」


PC①と若菜はここで会話をすることが望ましい。晴斗はこの間、射出機の取り扱いに手間取っているため、少々の時間が存在する。


若菜:「へー、PC①君の下の名前ってそんな意味があるんだ。」

「私は、カバーリングはやったことがないかな。え?PC①君も?じゃあ、お互い頑張らないとだね。」

「今まで、PC①君はあまり人と組んだことがなかったよね?だって、団体訓練の時、いつもさぼってたんだもん。そんなんじゃ、留年しちゃうよ。」

「私?私の家族は、事故でみんな…飛行機の事故だったんだ。私はその時、熱を出して親戚の家にいたの。」


晴斗:「よし、準備完了だ!いいか、カバーリングのコツは自分の行動を全て犠牲にしてでも相手を守るという強い意志だぞ!」

「それじゃあ、始めるからな。よーい…発射!っ……ん、しまった!!」


晴斗が撃った攻撃は本来、シーン選択の非常に威力の低いものだったのだが、晴斗は射出機の設定を間違え、範囲選択攻撃の威力のとても高い攻撃を放ってしまっていた。その対象はPC①と若菜のいるエンゲージだった。


晴斗:「PC①!若菜!2人とも逃げるんだ!回避、回避!!」


しかし、とっさに逃げようとしたPC①の目の前に既に攻撃は迫っていた、その前に立ったのは、若菜であった。


若菜:「…PC①君、カバーリングってこうやるのかな?私、君を守れた?」


射出機からの攻撃を受けた若菜はそう言って、PC①の目の前に倒れた。PC①は無事である。若菜のカバーリングは成功していた(自身を含む、範囲攻撃をカバーリングした場合、受けるダメージは2倍となる)。


晴斗:「きゅ、救護班!ほ、本部に連絡を!!」

―回想ここまで―


この一件で、若菜はUGNの病院に収容され、そのまま別の施設へと転所していった。そして、あなたは今日彼女と再会することになった。UGNチルドレンを中心に編成された赤石島調査隊にあなたと若菜はともに参加していたのだ。


霧谷:「それでは、通信を終了します。皆さんの健闘と任務の達成を祈ります。」

PC①が回想に耽っている間に霧谷との通信は終了し、シーン終了する。



・シーン2:好敵手 PC③

赤石島へ向かう船の中、あなたは霧谷の映るモニターを見つめている。


霧谷:「…また、今回の赤石島の異常なレネゲイド反応にFHが関与しているのかを明らかにすることも、皆さんの任務に加えます。もし、任務中にFHの関与が判明した場合には、これを排除してください。」


霧谷が言った言葉の意味があなたには分かる。あなたと長年のライバル関係にあるFHエージェント大門深紅郎が赤石島に入ったという、報告が数日前にあったのだ。あなたは、深紅郎が悪事を働いているのではないかという疑念があった。そして、それを防ぐのは自分しかいないという自負も。霧谷に話をつけて、今回の赤石島調査任務に同行することになったのだ。


霧谷:「PC③さん。皆さんに今回、問題の島に上陸したと思われるFHエージェントについてお話していただけますか?」


ハンドアウト・登場人物に書かれている事項(深紅郎のプロフィール、PC③と互角の実力を誇ること、天候を操る能力に秀で戦闘力に関してはマスターエージェントクラスであること)をPC③から伝えてもらう。


霧谷:「PC③さんありがとうございます。今回は特にこのFHエージェントに対抗するため、交戦経験が豊富なPC③さんにもチームに加わっていただきます。皆さんよろしくお願いします。」

「さて、確認ですが赤石島は非常に電波状況が悪く、また隣接する支部もないことからUGNから物的、情報的支援が困難です。というわけで、皆さんが島に降り立った後、我々は皆さんのサポートを十分に行えない可能性が高いと思っていてください。疑問点があれば今のうちに、解決しておいてください。」


霧谷の話がPC①のオープニングに追いついたところでシーンをカットする。


・シーン3:悪魔達 PC④

赤石島に向かう船の甲板の上、あなたは島の方向を向いていた。

レネゲイドビーイングであるあなたには分かる。赤石島にはレネゲイドビーイングがいる。それも最近になって、活発に活動をはじめたレネゲイドビーイングがいる。それらが外から島にやってきたのか、元からいたものが活性化したのかは分からない。ただ、あなたは目覚めた同胞が邪なものであるならば処分しなければならないだろう。それがレネゲイドの未来のためになると信じて。


霧谷:「…疑問点があれば今のうちに、解決しておいてください。」


PC④が船室へ戻ると、霧谷がまさに質問を求めている最中であった。あなたはレネゲイドビーイングに関する質問を霧谷にすることが出来る(質問が出ない場合は、下記の例を参考に質問させるとよい。霧谷は下記以外の質問には分からない、答えられないと返す)。


-いつから赤石島でレネゲイドビーイングの反応が現れだしたか。

霧谷:「数週間前でしょうか。徐々に大きくなったのではなく、突然巨大なレネゲイドの反応が現れ、我々UGNがレネゲイドビーイングの可能性を視野に入れて調査を行っていたところにPC④さんから、赤石島にレネゲイドビーイングがいるというお話を頂き今回の調査に参加して頂きました。」


-どのようなレネゲイドビーイングがいるか。また、どのくらいの数のレネゲイドビーイングがいるか。

霧谷:「現時点では何とも言えません。強大な力を持った一体のものなのか、無数のビーイングの集合体なのか、判断がつきませんでした。しかし、今回のような事態は稀です。自然発生的にレネゲイドビーイングが活性化したとは考えにくいです。何者かが糸を引いているとみるべきでしょう。」


PC④が十分な質問を行うか、GMが提供できる上記の情報が全て開示された時点で、質問を打ち切り、シーンを終了する。


霧谷:「それでは、通信を終了します。皆さんの健闘と任務の達成を祈ります。」


・シーン4:にーちゃん PC②

あなたは赤石島に向かう船の中で霧谷の映るモニターを見つめていた。隣には物思いにふけるPC①、若菜、そしてあなたの支部の先輩エージェントであり、今回の調査隊のリーダーの久城晴斗がいる。


霧谷:「皆さんに最終確認をしておきたいと思います。皆さんの目的地は赤石島、元々は無人島でしたが、数年前右代宮さんという学術界の権威で富豪でもある方が館を建てた島です。」

「右代宮氏はかなりのご高齢で、医師から余命数か月と宣告されていますが、現在もご健在でお1人暮らしを続けているそうです。」

「今回、その右代宮邸のある赤石島で巨大なレネゲイドの反応が見られました。右代宮氏はUGNの把握している限りレネゲイドに関しての知識を持っておらず、彼の安否が気になります。右代宮氏の身の回りの世話と生活必需品を届ける定期便が通っていましたが、それも数週間前を最後に途切れてしまいました。」

「今回の皆さんの任務は、謎のレネゲイドの反応の正体を突き止めることと、右代宮氏の保護です。よろしく頼みましたよ、久城隊長。」


晴斗:「…ふぇ!」


晴斗は、霧谷の話の最中にうたたねをしていたらしい。船を漕ぐたびに、左耳のピアスが鈍く光る。霧谷はため息を一つつく。PC②にとってはいつもの光景である。


霧谷:「エヘン…また、今回の赤石島の異常なレネゲイド反応にFHが関与しているのかを明らかにすることも、皆さんの任務に加えます。もし、任務中にFHの関与が判明した場合には、これを排除してください。」


霧谷の気持ちをPC②が忖度したところで、シーンをカットする。


【ミドルフェイズ】

・シーン5:朽ち果てた漁師 PC④

全PCに登場を求める。船が着岸したのは、波が岸壁に打ち付ける嵐の島であった。空は灰色に染まり、遠雷が鳴り響いている。赤石島は物理的にも閉鎖された空間になろうとしていた。


真嶋:「客船かー。まっことめずらいのぅ。……この島に近づく愚か者はもういないと思ってたんだがなぁ…」


PC達が船を降りると釣竿を担いだ漁師がたたずんでいる。その老人は明らかな敵意をあなた達に向けると襲い掛かってくる。


ミドルフェイズ戦闘に入る。敵は漁師のオーヴァード1体。勝利条件は敵の全滅。PCは若菜、晴斗を含んで1エンゲージとし、漁師のオーヴァードとの距離は5mとする。


漁師は戦闘に入ると獣がうなるように発声するのみとなり、人語を介さない。

戦闘が終了すると漁師は急激に年老いていき、骨と皮のみになっていく。


真嶋:「お館様…侵入者です。……お館様、侵入者の到達までに儀式の完遂を…」


漁師はそこまで語ると動かなくなる。漁師が見上げた島の中央部には館が見え、そこに続く薔薇が咲き乱れる遊歩道の先に門が見える。雨が降り始める。


晴斗:「二手に別れよう。今襲い掛かってきたオーヴァードの死体を俺と若菜で調べる。PC①達はあの館の調査に向かってくれ。」

「念のためにトランシーバーを渡しておくぞ、連絡用に使ってくれ。」


若菜は不安げな顔をちらりとこちらに向けるが、PCから特に宣言がない場合は、晴斗と共にこの場に残る。PCから宣言があった場合は、若菜と晴斗はそれぞれロイスを持つPCと共に行動する。ロイスをもつPCが複数いた場合には共に行動するPCはロールプレイによって決定する。

PC達が館に向かったところでシーンをカットする。


【情報収集フェイズ】

館は4つの部屋があり、PC①と若菜が育った施設に酷似していた。食堂にあたる部屋の扉には錠が3つ(A錠、S錠、L錠)かけられている。二階に続く階段は崩れており、先に進めそうにない。雷鳴が轟き、館のホールが光に染まった。


・aノックスの部屋(書斎)

部屋は書斎のようである。本棚や机が整然と置かれている。窓は施錠されており、豪雨が打ち付ける音が寒々と響き渡っていた。

知覚:10

ガチャリと遠くで錠前の開く音が響くとともに、PCの目の前の本棚が横にスライドする。


ノックス:「ノックス第3条。秘密の抜け穴・通路が二つ以上あってはならない。流石デス。ワガハイドを見破るトハ。」

「私はソラウノ・A・ノックス。十の楔で侵入者を阻むガーディアンデス。いざ、参られヨ、PC○○!」


ミドルフェイズ戦闘に入る。PC④のみノックスがレネゲイドビーイングであると気づける。他のPCはメジャーアクションを放棄して知識レネゲイド:9の判定が必要。敵はソラウノ・A・ノックス1体。勝利条件は敵の戦闘不能。または、部屋からの脱出。PCは1エンゲージとし、ノックスとの距離は5mとする。


・【特殊ルール】

ノックスは出現と同時に書斎を封鎖状態にする。扉、本棚からの逃亡は行えなくなる。

ノックス第2条により、イージーエフェクトの使用による脱出を禁じる。

他PCの乱入を禁じる。

マイナーアクションとして知覚:10に成功した場合、床に羽根戸があることが分かり、メジャーアクションにて部屋よりの脱出が認められる(脱出先は屋敷の玄関ホール)。[ノックス第3条が破られた扱いである。]


ノックス:「さぁ、この絶対の密室空間から脱出してみせるのデス。」

戦闘終了後、ノックスは本棚から退却し部屋の封鎖状態は解ける。本棚は書斎からは動かせない。


・bヴァンダインの部屋(客間)

部屋は客間のようである。豪奢なソファーが置かれ天井には明かりの消えたシャンデリアがある。稲光が部屋を照らすと部屋の中央に長剣で心臓を貫かれている男が倒れている船内でPC③から情報を聞いていたあなた達は彼が大門深紅郎であると気づいてよい。彼は完全に死亡している。

この場に久城晴斗がいる場合は、ガチャリと遠くで錠前の開く音が響く音が聞こえ、以降の描写は行わない。

久城晴斗がいない場合以下の描写を行う。

ガチャリと遠くで錠前の開く音が響くのが聞こえたのとその男が現れるのは同時であった。


ダイン:「ヴァンダイン7則。死体が絶対に必要である。ッチ、今回の召喚者は様式美に拘りすぎる。」

「俺はハフィントン・S・ダイン。用心棒に呼び出されたらしい。面倒だが、貴様らの相手をせねばならんようだ。悪く思うな。ヴァンダイン9則。探偵役は1人が望ましい。俺としても主の元にたどり着くのは1人の方がよいのだ。最も俺が本気を出せば、誰ひとりとして逃げられんがな。せいぜい殺される前に逃げるがいい。」


ミドルフェイズ戦闘に入る。PC④のみダインがレネゲイドビーイングであると気づける。他のPCはメジャーアクションを放棄して知識レネゲイド:9の判定が必要。敵はハフィントン・S・ダイン1体。勝利条件は敵の戦闘不能。または、部屋からの脱出。PCは1エンゲージとし、ダインとの距離は5mとする。


ダイン:「俺の刃から逃れられる者はいない。その男のようにな!」

「もっとも俺は端役に過ぎない。ヴァンダイン12則。端役の共犯者がいてもよい。」


戦闘終了後、ダインは窓から退却する。PCが退却した場合、部屋の外までは追撃しない。b2の情報は戦闘勝利時のみ、調べることができる。


・b2大門深紅郎

知識レネゲイド:7

FHの敏腕エージェント。ダインによって殺害された。深紅郎の関心事は死者の蘇生であり右代宮琉兵衛が愛娘復活の儀式を画策しているという情報を掴み島に侵入した。しかし、あなた達と同じように襲われ命を落としたとみられる。彼の胸元には「無垢なる石」を埋め込もうとした痕跡が残されている。 

・cチャンドラーの部屋(寝室)

部屋は寝室のようである。きちんとメイキングされたベットが寒々と置かれている。風が打ち付ける音に交じってあなた達は入ってきた扉が施錠される音を聞いた。


知覚:10

ガチャリと遠くで錠前の開く音が響くとともに、PCの前に煙管を吹かせた探偵然とした女性が現れる。


チャンドラー:「我、ミセス・チャンドラーが第7の命題に沿って問う。其は謎と暴力どちらを望むか?」

「我はマイヤ・L・チャンドラー。審判をもたらすものなり。」


謎と答えた場合(部屋から出るまで登場判定をすれば何度でも挑戦できる)


チャンドラー:「荒事を好まぬか。よいよい。ならば主らが知らぬ館の謎を授けようぞ。この館にある魔術の石についてだ。」

情報裏社会:9

この島には現在7つの「無垢なる石」が存在する。

情報裏社会:10

琉兵衛は愛娘を蘇生させようとしている。7つの「無垢なる石」を用いればほぼ完全な形で、愛娘を蘇生させることができる。しかし、その場合対象者はジャーム化する。

情報裏社会:20

現在その愛娘の体内には1つの「無垢なる石」が埋め込まれている。それは、UGNの人間の手によって埋め込まれたものだ。琉兵衛に「無垢なる石」の情報を流した人物と同一のUGNの人物である。その人物はこの赤石島の調査を主導した人物である。


暴力と答えた場合

ミドルフェイズ戦闘に入る。PC④のみチャンドラーがレネゲイドビーイングであると気づける。他のPCはメジャーアクションを放棄して知識レネゲイド:9の判定が必要。敵はマイヤ・L・チャンドラー1体。勝利条件は敵の戦闘不能。PCは1エンゲージとし、チャンドラーとの距離は5mとする。


・【特殊ルール】

チャンドラーは出現と同時に寝室を封鎖状態にする。扉からの逃亡は行えなくなる。

他PCの乱入を禁じる。


・d古都若菜(晴斗と若菜がいない場合のみ調べられる)

情報UGN:14(情報a、b、cが1つ開示されるたびに難易度が2ずつ下がる)

PC①と同じ施設で育ったチルドレンである。PC①を晴斗の誤射から庇ったことにより瀕死の重傷を負う。その後、晴斗の手により他の施設に移すと偽られ、UGNの研究所にて蘇生の実験を受け賢者の石の一種「無垢の石」の適合者として生きることになる。現在の彼女は半死半生であり、石の効果がなくなれば死体となってしまう。


・e久城晴斗(晴斗と若菜がいない場合のみ調べられる)

情報UGN:18(情報a、b、cが1つ開示されるたびに難易度が2ずつ下がる)

*本情報の開示後、晴斗はクライマックスまで一切姿を見せなくなる。

PC①と若菜の元教官であり、現在はPC②の上司にあたるUGNエージェント。普段からドジな面が目立ち、霧谷も頭を悩ませている。その本領はレネゲイド研究で発揮され、賢者の石の解析においてはエキスパートである。その万能の力を死者の蘇生に利用しようと画策し、若菜を実験体に実験を行っている。故人の富豪である右代宮琉兵衛を傀儡にして、大掛かりな実験施設として赤石島を改造した。今回のPCの人選も全て彼の掌の上である。


・f漁師の死体(晴斗と若菜を残してきた場合には1ターン後自動開示)

知識レネゲイド:7

賢者の石によって死体を無理やり動かしていたことが分かる。調べたのが晴斗もしくは晴斗を含む集団であった場合、この賢者の石は晴斗が所持する。

晴斗「重要そうなものは、隊長のにーちゃんが管理するからな。」


・g無垢なる石―ハートレスクリスタル(「無垢なる石」or「賢者の石」の単語情報が出てから)

知識レネゲイド:9

人の記憶に強く影響するレネゲイドビーイングの欠片から生まれた賢者の石の一種。その特質から死者をよみがえらせることができると誤認されやすいが、正しくは人と人の繋がりを再現して幻影を生み出しているに過ぎない。もっとも強大な力を持つことから、複数集めれば超常の力を発揮することは間違いない。その成り立ちから、レネゲイドビーイングとの相性が良い。


【トリガーシーン】

・シーン10:殺戮の食卓 PC②

情報a、b、cが全て解放されると食堂に入れるようになる。食堂に入った時点でクライマックスフェイズに移行する。情報eを調べていない場合、このタイミングで若菜と晴斗が駆けつける。情報eを調べていた場合、若菜の登場は任意であるが晴斗は必ず登場しない。



【クライマックスフェイズ】

・シーン11:紫電光る PC①

PC達が食堂に入ると、高級な食卓と背丈の高い椅子が並ぶ豪勢な部屋が現れる。机の上には山と書物が積み上げられ、上座に座る人物の姿を隠している。この部屋は外の嵐が嘘のように感じるほど静かだ。


琉兵衛:「ずいぶん待たせるではないか、客人!」


琉兵衛の声は書物の山を飛び越え雷のように鳴り響く。机の上に飛び乗った白髪の老人は黒いマントを羽織った魔術師然とした風貌であった。深くしわが刻まれた顔を歪ませ琉兵衛は笑みを浮かべる。


琉兵衛:「せっかくの生贄がこんなにもひと時にやってきたのだ。我が友人も交えて盛大にお出迎えしなければな。出でよ、我が朋友たちよ。」


書物の山が光るとそこから三体の影が飛び出す。


ノックス:「ソラウノ・A・ノックスここニ。」

ダイン:「…ハフィントン・S・ダイン。参上した。」

チャンドラー:「マイヤ・L・チャンドラー。また会うたな。」


琉兵衛:「今こそ再会の時!我が娘の復活の贄として、彼の者どもを捧ぐべし!」


衝動判定を行う。

意思:9

衝動判定に失敗した場合、バッドステータースの暴走を得る。その後全PCは浸食率を2D10上昇させる。


戦闘配置は全PCが1エンゲージとなりその前に5mを開けてノックス、ダイン、チャンドラーが別々のエンゲージで配置されている。更に5m後ろに書物の山、その5m後方に琉兵衛が配置されている。PCから書物の山までは10m、琉兵衛までは15mとする。

勝利条件は、右代宮琉兵衛の戦闘不能。ノックス、ダイン、チャンドラーの生死は問わないものとする。なお、ミドルフェイズからノックス、ダイン、チャンドラーのHPは引き継ぎ、クライマックスでは全て固定値を用いる(ただし、0の場合は1に修正し、更にはじめのイニシアチブで生命増強Ⅱを使用して、30点回復する。)。


・【特殊ルール】

メインプロセスで、ノックス、ダイン、チャンドラーを事前に宣言して、知覚判定を行うことができる。難易度15(既に遭遇している場合は10)判定に成功した場合、事前に宣言した書物を発見することができる。『探偵小説十戒(ノックス)』、『探偵小説傑作集(ダイン)』、『レイモンド・チャンドラー語る(チャンドラー)』。これらの書物に1点でもダメージを与えられた場合、該当書籍は破壊され対応するビーイングは即座に戦闘不能となる。


ノックス:「依り代を破壊されたのでは致し方ありまセン…ここは琉兵衛に任せるとしまショウ。」

ダイン:「俺は基より戦う意義などないのだ。契約はこれで破れた。」

チャンドラー:「我の使命は見届けることなれど、それは戦うことと同義ではないということだ。」


琉兵衛:「わ、我が娘に一目、もう一目だけ…」

「しかし、私はあの娘の名前がどうしても思い出せない…」

「あ、あの青年は…一体誰だったか?」


右代宮琉兵衛戦闘不能後、(登場していなかった場合ここから合流)久城晴斗がすばやく琉兵衛に近づき、彼の胸元から「無垢なる石」を取り出す。同様の行為をノックス、ダイン、チャンドラーにも繰り返し、彼が元から所持していた1つを合わせて5つの石を取り出す。PCが漁師に埋め込まれていた石を所持していた場合は、これも奪い取る。合計6つの石を手にして晴斗はPCと若菜の前に立つ。


晴斗:「若菜、ごめんな。今まで待たせちゃって。」

「これで、若菜に本当の命を返せるよ。」

「大丈夫。怖がらないで!にーちゃんに任せればすべてうまくいくから。」


晴斗は若菜に対して6つの石を埋め込もうとする。石を埋め込んだ場合、若菜はジャーム化するが完全な蘇生が実現する。現状の若菜は石の力によって姿を保つ影法師のようなものだ。晴斗を止めない場合はこのままバックトラックを行う。

晴斗を止める場合は以下の戦闘を行う。


戦闘配置は全PCが1エンゲージとなり、同エンゲージに晴斗が存在する。

勝利条件は、久城晴斗の戦闘不能。



晴斗:「これはにーちゃんとしての実験と贖罪なんだー。」

「なんで、なんで、分かってくれないんだよ?」

「PC①はそれでいいのか?若菜を生き返らせるにはこれしかないんだぞ!もう、若菜は死んでいるんだーーー!!」


晴斗が戦闘不能になったところで、バックトラックを行う。


エンディングフェイズ

・シーン12:青天の霹靂 PC①

晴斗の提案を受け入れた場合こちらのエンドになる。

館を出ると赤石島は先程までの荒天が嘘のような雲一つない青空が広がっていた。多くの賢者の石を体内に抱えることになった若菜に今のところ外見的な変化はない。しかし、本土に戻って浸食率のチェックを受ければ、彼女がジャーム化していることは、明らかになるだろう。そもそも霧谷への報告は船の中で行われるのだ、薔薇の咲く遊歩道で言い訳を考えるしかないだろう。


晴斗:「大丈夫、大丈夫。その辺はUGNの技術部の方に話を通してあるから、心配はいらな…」


晴斗の言葉が途切れたとき、あなた達は青空から放たれた強烈な光で目をつむってしまっていた。轟音の後に何か軽いものが倒れる音が響く。それは晴斗が雷に打たれた音だった。一瞬の内に絶命した彼は最後まで楽天的だった。

「犯人は物語終了時までに罰を受けなければならない。」


PC達は若菜をのせた船の進路を彼方に向けることになるだろう。その結末に何人のPCが賛同するかはここで決めて良いが、PC①のみは若菜と行動を共にすること。


・シーン13:奇跡の影法師 PC①

晴斗の提案を受け入れなかった場合こちらのエンドになる。

若菜の現状は不安定な賢者の石1つによって維持されている状態で、いつこれが破れてもおかしくない。彼女の自我は長くも短いこの1日の間にも摩耗しているように感じる。霧谷に相談しても彼女の現状を救う手を彼は持たないだろう。凍結保存という形やそのまま安らかに眠らせてあげることを提案されるだろう。若菜との時間をどう過ごし、彼女の最期を選ぶのはPC①である。



・シーン14:奇妙な仲間 PC④

あなたは今回の冒険で多くの興味深いレネゲイドビーイングを目にした。本に描かれた理論を基にしたレジェンドのレネゲイドビーイング、人の死体を基にしたヒューマンのレネゲイドビーイング。レネゲイドの進化に関してあなたは新たな知見を得たのである。


基礎経験点……10点

追加経験点……戦闘参加回数×3点

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