第3話
外交の一手段として戦争は存在する。21世紀を生きる我々にとって当たり前のことだ。
無人偵察機の結果から海軍と海兵のみで叩き潰せるであろう事は間違いない。
「タレーラン連邦女王ラフィールです。」
「アドラー帝国総統ジャックだ。先ずは我が国の艦隊が貴国へ通告無く接近した事は申し訳なくおもっている。」
若い。どれだけ歳を上に見ても30代ぐらいにしか見えんな。
「その事に着いては構いません。食料補給でしたら港湾都市としては義務でしょうから。」
それはそうかもしれない。船乗り達は禁止されようと船舶には食料や真水を補給してくれるだろう。
「失礼、私は外務卿のエルブランだ。貴国の目的を聞きたい。」
「我々アドラー帝国は貴国との友好関係を築きたいと考えている。」
彼は王族もしくは高位貴族だと思われる。他国の国家元首と自国の王の会話に口を夾める身分である事は間違いが無い。
「聞くところによると貴国はここより東方の島嶼部にあるらしいな。」
「その通りだ。」
「その島嶼部は我が国の領土。すぐ様立ち去ってもらおう。」
おや?神は何処の領地でも無い無人島を渡すと言ったハズだ。しかも船は戦列艦クラスならともかく民間船が辿り着けるものでも無いし、第一人の匂いはしなかった。
「我々があの島に建国した際は誰も居ないうえに人工物の欠片も無かったのだがな。」
横に座る女王の顔色が青ざめたのを見るに実権は無いようだし、彼女の本意でも無いらしい。
「ならば貴様らは我が国と戦争をするのか?」
後ろに立つイングラム少佐がM416の引き金に指を掛ける。もう1人の兵士が通信を入れたのがわかった。片手を挙げ制す。
「ラフィール殿。私は貴女と交渉をしよう。我々はここでこの男の派閥を排除出来る力を保有している。」
これは外交では無いな。恐喝だ。外の建物に控える狙撃手に命令を出す。瞬間、338ラプアマグナム弾がエルブランの脳髄を破壊し、脳漿と血肉が撒き散らされる。同時に室内の2名の親衛隊員が拳銃で護衛を殺す。
「……王都の王党派はセレーナ・アンツェス伯爵居ません。ここの総督は我々の派閥です。セレーナを領地へ帰す命令を出します。領地はここの隣です。ご協力を。」
「お任せを。隣国の安定は我々にとっても利益だ。1度本国に戻ります。1500の兵士をここに置いておきます。何かあればそちらに。」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
独立混成旅団2個、機甲師団1個の派遣命令。
数にして機甲大隊12個、歩兵大隊10個の大部隊ではある。更に、海兵隊の2個連隊と3個機甲大隊が揚陸した。アンカー港の隣に我々の艦隊の補給地となるニュー・アンカー海軍基地を設置しさらに周辺に大陸派遣軍の陸上基地が完成した。早馬で早期に脱出したアンツェス伯は現在アンカーに首都を移転し反逆者を討つと宣言している。
「貴官の名は?」
「はっ!スティーブン・マドラー海兵大尉であります。」
海兵隊の戦車部隊。その先方を務める第17大隊A中隊を閲兵する。世界の警察を祖国とする身、安定は重要だ。
「戦車の調子はどうだ。」
「上々です閣下。」
海兵隊はF2000を構え歩兵戦闘車や兵員輸送車に乗り込む。既に飛び上がったAH-1Zからはワーグナーのワルキューレの騎行が響き渡る。
「これよりラウンドアップ作戦の開始を宣告する。全作戦部隊攻撃開始!」
ラウンドアップ作戦。第一波として戦闘機部隊が敵の竜騎兵を殲滅し王都までの制空権を奪取する。その後に敵野戦軍に対しA-10等の攻撃機で攻撃後陸軍が動くという単純な内容だ。
VM-22プレジデントオスプレイに乗り我々は取り敢えず、前線後方にある敵の司令部を親衛隊と叩く事にした。
「フューラーよりアドラー・ワン。各位装備を確認。」
親衛隊員達がEVO3A1を構える。その前にP320のスライドを引き初弾を送る。その両方にサウンドサプレッサーが取り付けられている。
『プレジデントオスプレイより降下地点まで、あと数分。準備は良いか?』
「フューラーより良し。Over」
私もMP7に初弾を送り、構えるACRの7.62×39弾仕様に取り付けられたACOGを覗く。3倍サイトは中距離用。1番先頭には出してくれなかった為にそれを選んだ。
後部ハッチが開きそこから降下する。素早く展開し指揮官のいるこの砦を制圧する。ティルトローター機が接近した音に気付き槍を構えた兵士が数名こちらに来るがサプレッサーで極限まで、抑えられた発砲音と共に40S&W弾によって声1つ上げることなく骸となった。
9×19mmNATO弾は雑兵の鎧を貫通出来るようで確実にダメージを与えて行く。正直私に出番は無い。
「こちらフューラー。各隊報告せよ。」
「こちらリンクス。標的おらず武器庫です。現在C4設置中。」
「こちら、ホークアイ。標的確認。いつでも狙撃出来る。」
「こちらはクロウ。敵機密書類確認。写真に残した。次席指揮官若しくは参謀と思しき高級将校確保。LZまで連れていく。」
「各隊了解。ホークアイ、殺れ。」
50口径のM107からライフル弾が放たれる。無風かつ障害物の無い地点からの狙撃。まるで吸い込まれるように眉間へと向い爆ぜる。
指揮官アーノルト・シュツワーゲン侯爵戦死。
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