金☆ホシっ子 ネクスト!

「さ、宿題をやろうぜ!」

「ほんと、なんでそんなヤル気なんだよ。」

「早くやろ!」

「もう修学旅行のホテルでトランプやる時のテンションじゃねぇか。」

「ぶー! 遠足のまだ到着もしてないのに、気持ちがたかぶりすぎて『着いたらおやつ交換しよっ!』って言ってくる奴のテンションでした~。」

「正解あんのかよ! てか、同じようなもんだよ。」

「やろっ。」

「はいはい。」

「何やればいい?」

「何やりたい?」

「面白い奴が良い。」

「あー……じゃ、古文やっといて。」

「それって面白い奴?」

「ん、まぁ、場合によっては……。」

「じゃあ、やる!」

「よし、助かる。じゃあ、任せた。教科書はここにあるから自由に取ってっていいよ。」

「じゃあ、これにする。」

「自由にって言ったけどランダムに取っていくんじゃねぇよ。それ、保健の教科書だから。」

「熟読しとくね。」

「古文をやれ。」

「じゃ、これにする。」

「それ、音楽の教科書だよ。」

「音読するね。」

「古文やれって。」

「レファソシラソドミ

「楽譜を音読するな。あと、読むにしても棒読みはやめろ。」

「ソソソソソソソソソソソ

「魔王の楽譜読むな!」

「ド~レ~ミ~ファ~ソ~ラ~シ~ド~

「……。」

「ジャーン、1。ド~シ~ラ

「待て、どこの音楽のページにシャトルランの楽譜があるんだよ! はぁ、古文をやれよ。」

「古文書どれ?」

「そんなカッコイイものはねぇよ。あんのは教科書ぐらいだよ。」

「じゃあ、それ解読しよ?」

「解読しなくても最初から現代語だよ。」

「じゃあ、現代文の教科書なんじゃないの?」

「……全部古文で書かれてたら、先生も読めない可能性あるよ。てか、そんな教科書開きたかねぇよ。ただでさえ開きたくねぇのに。」

「では、私が古文の教科書を開きます。」

「なんの実況だよ。」

「さぁ、今、人類の偉大なる第一歩を踏み出しました!」

「そんな大層なことじゃねぇよ! まず、その教科書あたし20回ぐらい開いてるし。第21歩目だよ。」

「さ、やるか!」

「んじゃ、そっちは任せたよ。」

「……。」

「……。」


―しばらく無言が続いてるし、まだ続きそうなので、私が間を繋ぎます。間を繋ぐと言っても、2人の間を繋ぐ恋のキューピットになるわけじゃないですよ? ……駒込こまごめピペット……。なんで言っちゃったかは秘密です。キューピットとピペットが微妙に似てたからなんて口が裂けても言えません。はい、口を裂きました。……ねぇ、私、綺麗? これでも……。え、規制? あ、そんなのあるんですか? いや、ちょ、今ぐらいは、……いや、今、一番大事なシーンなんですよ! 『どうせ裂けてるだけだろ』ってそんなこと言わないでくださいよ。……まぁ、そうですけど。はい……すいませんでした。……これからは気を付けます。え、逮捕状?! なんで?! え、ちょ、ちなみに何の―


「古文の調子はどう?」

「まぁまぁ、楽しいよ。」

「へー、なら良かった。」

「東大寺とか?」

「“奈良良かった”って言った訳じゃねぇよ。」

「鹿とか?」

「奈良の話してないって。」

「ぶっぶー! 正解は広島の宮島でした~。」

「東大寺わぁぁあ?!」

「……。」

「……。」

「……咳をしても一人。」

「なんか好きだよね。わかるよ。」

「うん。」

「……。」

「……。」

「もしさぁ、

「うん。」

「無人島に何か一つ持っていけるとしたら何持っていく?」

「どしたの、漂流する予定でもあるの?」

「ねぇよ、そんなおっかない予定立てるかよ。」

「急にどしたの?」

「いや、静かだなぁって思って。」

「無人島に一つだけ持って行くとしたら?」

「うん。」

「ん~、何持って行く?」

「あたし?」

「うん。」

「あたしは……サバイバルナイフかな? ナイフは必要だろうし、サバイバルナイフだと持ち運び便利だから。」

「なるほど~。」

「あんたは?」

「ん~、無人島に行ってから考える。」

「手遅れだよ!」

「……。」

「……。」

「……古文終わった~!」

「早っ! まだ1時間も立ってないぞ。」

「ほら?」

「……確かに。ちゃんと終わってる。」

「次、何すればいい?」

「んじゃ、英語やってくれる?」

「任せなさい!」

「ぅん、なんか不安要素は多いけど任せるよ。」

「よーしっ!」

「あ、英語の教科書ここにあるから。」

「これか。」

「違う、それは小学校のときの卒業アルバムだ。書いてあんだろ。触れたら殺すぞ。」

「エロ同人は?」

「ねぇよ、誰が教科書と一緒の棚に入れるんだ。」

「じゃあエロDVDは?」

「ないって!」

「『NEW HOLE依存』とか?」

「ちょっと英語の教科書の名前文字ってんじゃねぇよ!」

「サブタイトル『~男同士の新たな境地へ~』みたいな?」

「やめろ。さっさと、英語をやれ!」

「は~い。」

「なんで、お前らそんな下ネタ好きなんだよ。星なら、もうちょい美しくあれよ。」

「でも、私、普通に可愛いよ?」

「あぁ、そうだなぁ! ただし、外見に限るがな!」

「かねぇ~、かねぇ~。」

「鳴くな、鬱陶しい!」

「……。」

「……。」

「……ポテェイトォ。」

「……。」

「……トメェイトォ。」

「……。」

「……コネェイコォ。」

「……ん? おい、ちょっと待て。なんで子猫入って来た?!」

「なんか似てるから、書いとけって思って。」

「んな理由で書くな! あたしが怒られるだろぉが!」

「でも、子猫ちゃん可愛いよ?」

「『でも』の意味がわからねぇよ。てか、お前らホシっ子は『でも』の意味をもう一回調べろ!」

「さ、英語頑張ろ。」

「不安要素がものすごい強い……。」






―ゆっちゃ~ん!―


「ん、ミズ?」


―そうだよ~! 久しぶり~!―


「半日ぶりぐらいだな。あれ、これって地球担当じゃなかった?」


『ちーちゃんは


「待て、お前、地球のことを『ちーちゃん』って呼んでんのか?」


―うん。でね、そのちーちゃんがさっき逮捕されたの―


「あいつ、何やったんだよ。あ、そうだ。言いたいことある。」


―なに?―


「いつかはやると思ってま


―それでね、


「最後まで言わせろよ!」


―可愛い!―


「……。」


―……今、鏡の前にいます―


「それ鏡だよって、見えねぇんだよ! お前が、鏡って先に言っちゃってるし。」


―じゃね!―


「何で出てきたんだ、あいつ……。」

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