第9話GW2人きりの夜(やや後編)


もくもくもくもく。(←無言むごんでお弁当べんとうべている🍱)

翌日よくじつのおひる光景こうけいである。メンバーは、いつものチコユミヤサコとわたし4人よにんなのだが、

「あのさー」

チコこと三ヶ月智子みかづきともこくちひらくが、

ギヌロッ!

と、ユミこと高橋裕美荒れ狂う鬼神にらみつけられ言葉ことばうしなう。

ヤサコこと坂下優子さかしたゆうこがたまりかねてう。

「ちょっと、ユミ!いくらおゆきとコーキくんうのがらないからって……」

らなくない!ちゃんと、おいわいもったよね?なんなら、も一回いっかいおうか。『オユキチャン、アケマシテ、オメデトー(棒読ぼうよみ)』」

全然ぜんぜんおめでたがってないじゃない!」

「ゼンゼン、オメデタガッテマスー」

「アンタ、ケンカってんの?ってやろうじゃない!」

「ケンカナンテ、ウッテマセンヨー」

おもてなさい!たおしてやるから!」

「やめて、優子ゆうこちゃん。ユミちゃんにはわたしからっておくから。今日きょうのところは勘弁かんべんしてー」

「おゆきがそううんだったら……。でも、あまやかしてても、そののためにならないわよ」

ヤサコがせきつ。お弁当べんとうえたチコもげるようにせきつ。

ユミにはこまってしまう。でも一番いちばんわるいのは、じつわたしなのだ。


今朝けさまで時間じかんさかのぼろう。

コーキくんこと河野弘毅君こうのひろきくんとつきことになったのが昨日きのうことしあわせの絶頂ぜっちょうにあったわたしは、あろうことか、ユミのことをすっかりしっかりわすれてしまっていたのだ。

早朝そうちょう、コーキくん文芸部ぶんげいぶ部室ぶしつわせ、たのしくおしゃべりして教室きょうしつへ。

そこではじめてユミのことおもしたのだ。したにクマが出来できていて睡眠不足すいみんぶそくなのは明白めいはくわたしもうわけなくなって、コーキくんこと報告ほうこくしたのち正直しょうじきにユミのことわすれていたことはなしてしまった。結果けっか、ユミがへそをげてしまったというわけである。

ユミの気持きもちはわからなくもない。

よるねむれなくなるくらいなやんで心配しんぱいしてわたしこい応援おうえんしてくれていたのである。

なのにわたしときたら、自分じぶんしあわせになったらユミのことなどすっかりしっかりちゃっかりうっかりわすれてしまっていたのだから、おこるのも無理むりはないであろう。

ただ問題もんだいなのは、そのいかりがわたしではなくほかひとかっていることなのだ。

どうしたらいのだろう?

「ねえ、ユミちゃん。一緒いっしょてもらってい?」

ユミは無言むごんがった。ひとがいないところということ文芸部ぶんげいぶ部室ぶしつへとかった。

「ユミちゃん、おねがいだから機嫌きげんなおして!」

機嫌きげんなんことだかわからないな?」

「もうっ!ユミちゃんはそんなじゃないでしょ!」

「『そんな』じゃ、どんなかわかんないし?」

「もお〜!わかった。わたし出来できことひといてあげる。それで機嫌きげんなおしてっ。ねっ♪」

「おゆきちゃんが、わたしことひといてくれるの?」

なんでもじゃないからね?わたし出来できことだからね?っとくけれど、わたしはコーキくんとつきってるんだから、ユミちゃんとはつきえないんだからね?」

「わかってる。わたしだって、おゆきちゃんのしあわせをねがってるのは本当ほんとうなんだから」

「うん。ちゃんとわかってるよ。それでわたしなにいたらい?」

「そのまえに、ヤサコたちにあやまってこなくちゃ。おやつボックスのなかに、と。あった!おゆきちゃん、お昼休ひるやすみがわるまえあやまりにこう!」

また、ケンカにならないか不安ふあんだったけれど★

先程さきほど不愉快ふゆかいおもいをさせてしまい、大変たいへんもうわけございませんでした。ほんの気持きもちばかりではありますが、どうぞおおさくださいませ☆」

ユミは、ヤサコとチコに丁寧ていねいびをれ、いたチョコまでわたして謝罪しゃざいひょうしたのであった🍫

「おゆき、アンタどんな魔法まほう使つかったのよ?」

とヤサコにかれるほどに、態度たいど豹変ひょうへんしていた。

まず外堀そとぼりめて、わたしことわれないようにしたわけだ。

ユミからなに要求ようきゅうされるのだろうとおもうと、空恐そらおそろしくすらあった。


そしてだれもいなくなった放課後ほうかご

「えーっ!ユミのいえ一泊いっぱく〜っ!」

「うん。べつ10泊じゅっぱくでも100泊ひゃっぱくでも梁山泊りょうざんぱくでもいんだけれど」

それはわたしくない★ってか、『りょうざんぱく』ってなに?『良質りょうしつなたんぱくしつ』ならわかるんだけれど。

「う〜ん。うちはゴールデンウィークだからって、おかあさんの仕事しごとやすみなわけじゃないし。でもな〜」

「でも?」

「ぶっちゃけ、ユミにおそわれないか不安ふあん★」

「えっ?わたしって、そんなあつかいなの?」

わるいけれど、そんなあつかいだよ。ねんのためにくけれど、ユミってガチレズじゃないよね?」

「ガーン!失礼しつれいな。わたしおんなだからおゆきちゃんがきなんじゃなくて、おゆきちゃんがきだから、おんなでもいかっておもってるんだよ?」

わたしくないからね。はじめては河野弘毅君愛する殿方ささげたいっておもってるんだからね」

「ご安心あんしんなされよ。まくは100%保証ほしょう姫洞きどうゆびその異物いぶつ絶対ぜったい挿入そうにゅうしないから!」

「なんかえっちなことする前提ぜんていになっているような?」

ってか、『きどう』なんて言葉ことばはじめていた。たぶんえっちな言葉ことばなんだろうけれど。

「そ、そんなことないし。おゆきちゃんがいやがること絶対ぜったいしないし?」

わたしいやがらなかったら、えっちなことするんでしょ?」

「それはまあよろこんで!でもおゆきちゃんがいやがってないんだからいじゃん!」

「なんか睡眠薬すいみんやくとかまされて、意識いしきがないうちにいたずらされそう」

「ギクッ!……って、おゆきちゃんのなかわたしって、そんなに信頼しんらいされてないの?さみしいな。そっか。わたし告白こくはくなんかわすれて、ハッピーなゆめ見続みつづけられるひとだもんね。わたしはおゆきちゃんの物語ものがたりでは、クラスメイトAとか通行人つうこうにんBとか、その程度ていど役柄やくがらしかあたえられていないんだね?」

「ぐっ!いたいところをいてくるなあ。わかった!ユミをしんじるよ。まりにってあげる」

「ありがとう♡わたしちかうよ☆絶対ぜったいにおゆきちゃんのいやがることはしないって。おゆきちゃんが安心あんしんして毎日まいにちまりにてくれるように頑張がんばるよ!」

「いや、毎日まいにちまりにかないから!」

こうしてわたしはユミのいえまりにことになったのであった。


「……というわけで、ゴールデンウィークに高橋裕美たかはしひろみさんのいえまりにきたい、いや、本当ほんとうはあんまりきたくないんだけれど、ってい?ダメだよね?じゃあ、早速さっそくことわってくる♪」

いわよ。というか今月こんげつ家計かけいくるまで。だから口減くちべらししたい。なので、先方せんぽうがご迷惑めいわくでなければ、毎日まいにちまりにきなさい!」

ウソ〜★一泊いっぱくだけでも憂鬱ゆううつなのに、毎日まいにちまりにけとは……。

「あのね、その高橋たかはしさんって、こうっちゃなんだけれど、おんなきみたいなかんじなの。レズビアンってったらいのかな?」

「まさか、じつむすめがキマシ展開てんかいに!これはえるわ〜」

「ちょっと、なにってるの、おかあさん!はるなのに、もう熱射病ねっしゃびょうにやられちゃったの?」

高橋たかはしさんって、あのハーフツインテのげきかわプリティガールでしょ?小雪こゆきわたして、キューティーチャーミングガールだし、もう最高さいこうね♡」

こっちは、もう最悪さいあくだわ★

わたし正直しょうじき貞操ていそう危機ききかんじてるんだけれど……★」

「その高橋たかはしさんっていうのは、小雪こゆきはんしていやがることをしてくるようなひとなの?」

「そ、それは……。そんなことはない……はず……だとおもいたい……」

「じゃあ、いじゃない♪今度こんどのゴールデンウィークはうちで寝泊ねとまりすることきんじます★」

「ちょっ、おかあさん!わたしこと、なんだとおもってるの?」

「ただの穀潰ごくつぶし?」

ひどい!

「もういいっ!」

おこって台所だいどころこうとするが。

小雪こゆき!」

められて、あしかえる。

「ユミちゃんとごしたよるは、きっとあなたのきるかてになるわ」

「は?なにそれ、意味いみわかんないし!」

わたしは、台所だいどころし、自分じぶん部屋へやへとかった。


「……でねっ!おかあさんが、わたしこと、『穀潰ごくつぶし』なんてうのよ。ひどいとおもわない?」

「じゃあ、おゆきちゃん。うちのになる?」

「ゴールデンウィーク期間限定きかんげんてい高橋小雪たかはしこゆきでおねがいたします☆」

「やったぁー!おゆきちゃんみたいな可愛かわいいもうとしかったんだぁ♡」

「えっ?わたし妹役いもうとやくなの?どうかんがえてもわたしがおねえさんでしょ?」

「じゃあ、おねいちゃん、よろしくね♪」


小雪こゆき準備じゅんび出来できた?わすものはない?」

「もうっ!小学生しょうがくせいじゃないんだから!大丈夫だいじょうぶまってんじゃん。それに、ちょくちょくこっちかえってるし」

「そうね。じゃあ、連休中れんきゅうちゅうのおこづかいわたしておくわね」

「えっ?こんなに?家計かけいくるまなんじゃなかったの?」

「ふっふっふ、おかあさん頑張がんばっちゃいました♪ていうか、あなたをべさせていくくらいのおかねはあるんだからね?」

うれしい♪ありがとう、おかあさん♡」

「あとこれ、高橋たかはしさんちへのお土産みやげ☆ご家族かぞくかたへもきちんと挨拶あいさつするのよ?」

「ユミ……裕美ひろみちゃんの家族かぞくは、連休れんきゅう間中あいだじゅう親戚しんせきうちって、いないんだって!」

「ていうことは、2人ふたりきり?いわね〜。おもいっきりたのしんできなさい☆」

「うん♪じゃあ、ってきます」

「あっ、わすれてたけれど……」

「もう、なに〜?」

おんな同士どうしのキスとか『むふふ』はノーカウントだから、よるもしっかりたのしんできなさいね♡」

「もう、そんなことしないってば!おかあさんがキマシとう住人じゅうにんだったなんて。人生じんせい一番いちばんのショックだよ★」

むすっ、としてしまうが。

ってらっしゃ〜い♪」

むやみやたらと笑顔えがおなおかあさんにられて、たのしい気分きぶんになってきた。

ってきます」

こえけて、足取あしどりもかる玄関げんかんた♪


「おおおおおっ!遠路えんろ遥々はるばるようこそおいでいただきました。荷物にもつおもいでしょう?おいたします☆」

ユミんちがえるところまでると、動物園どうぶつえんのクマのよう自宅周辺じたくしゅうへんをうろうろしているユミこと高橋裕美熊型私服女子高生発見はっけんした。こうも、こちらを確認かくにんしたのだろう。文字通もじどおんできた。

おおげさだなあ、あるいて5ふん距離きょりなんだから。あ、これ。うちのおかあさんから。しばらくよろしくおねがいたします♪」

せっかちなユミにられたのか、ユミんちにまえ挨拶あいさつえてしまった。

門扉もんぴ通過つうか玄関げんかんへ。

ユミは、さき自宅じたくがりむと、こちらをいて、

「あなた、おかえりなさい♪ごはんにする?お風呂ふろにする?それとも、わ・た・し♡」

と、たずねてきた。『わ・た・し』をえらんでよろこばせてやろうかともおもったが、めくるめく百合百合地獄ゆりゆりじごくきずりまれるのでは、とおも躊躇ちゅうちょした。

無難ぶなんに、

「いえ、わたしとしたのは普通ふつうおのです」

こたえると、がっくりされた。

えず、リビングへととおされた。元々もともと、GW《ゴールデンウィーク》の期間中きかんちゅうは、いえ小説しょうせつ執筆しっぴつをしようとおもっていたので、ユミのいえでも、それを中心ちゅうしん活動かつどうすることになる。もちろん、ユミも了承済りょうしょうずみである。

れいによって、スマートフォンで検索けんさくして資料しりょう作成中さくせいちゅう

「ねえ、おゆきちゃんがってきてくれた菓子折かしおりって中身なかみはなんだろう?けていかな?」

ユミにこえけられた。

「まあ、わたしべつかまわないけれど、ご家族かぞくかたかえっててからけたほういんじゃないかな?」

いよ、いよ、一緒いっしょべよう♪ものは、珈琲こーひー紅茶こうちゃ、ラブジュース、どれがい?」

「ラブジュースって、たしかエロい言葉ことばなんだよね?それ、えらんだら地獄じごくちそうながする★」

ちがうよ?天国てんごくにイケるんだよ?ラブジュースにする?」

んでもそれはおことわりします!ミルクティー出来できる?」

わたし、まだ母乳ぼにゅうないんだけれどな?でも、おゆきちゃんのために頑張がんばるよ♡」

頑張がんばらんでいい!ってか、わたしく!ユミにまかせてたら、何飲なにのませられるかわかったモノじゃない!」

「え〜!もっとわたしことしんじていよ?」

ガン無視むしして、ユミのあとについてキッチンへとかう。

なん問題もんだいもなく、ミルクティーは出来上できあがり、2人ふたりしてもどってくる。

ユミは右手みぎてにハサミをち✂

けるよ〜♪おゆきちゃんがわたしのために真心込まごころこめてえらんでくれた、お・み・や・げ」

ジョキジョキとひらいていく。

「だから、うちのははからだって」

「はっ!」

突如とつじょ、ユミのうごきがまる。

「えっ!どうかした?」

「ここは2人ふたり一緒いっしょにハサミをって、『夫婦ふうふはじめての共同作業きょうどうさぎょうです』って、やるべきだったよね?」

は?莫迦ばかじゃん!

夫婦ふうふちゃうし」

包装紙ほうそうしひらいてのぞいたところで。

「なんか封筒ふうとうはいってるぅ!」

おもてには『高橋様たかはしさま』とかれていた。

中身なかみは、中身なかみは?」

ってってかさないで!」

小雪こゆきをよろしくおねがいたします』とかれた手紙てがみと、結構けっこう金額きんがくのピンさつはいっていた。

「え〜、こんなにいただけないよ〜!おゆきちゃん、かえしておいてよ!」

「いや、それはっておいて……」

わたしこころなか感動かんどうしていた。もし、連休中れんきゅうちゅうわたしいえにいるのなら、ははわたしたいするおこづかいもそうだし、こんなおかね使つかわなかっただろう。

口減くちべらし』だの『穀潰ごくつぶし』だのいつつも、わたしがこっちで肩身かたみせまおもいをしないでむようにしてくれたんだ。

ちょっと、なみだそう。ユミのまえだから、かないけれど。

菓子かし2人ふたりべるにはボリュームがぎて、のこりはまたあとで、ということになった。

またしても、資料作しりょうづくりにせいす。

「おひるはざるそばにしようとおもうんだけれど?」

「まだいい。おなかいっぱいだし」

「おひるかるめにして、晩御飯ばんごはん豪勢ごうせいにしたいよね?何作なにつくる?」

「そうか。ごはん自分じぶんたちでつくらなきゃなんだ!」

いにく、べにく、出前でまえとかもあるけれど、せっかくだしさ、自分じぶんたちでつくりたいじゃん!」

「ユミちゃん、お料理りょうり腕前うでまえ如何いかに?」

「カップラーメンとかレトルトカレーとか……」

ちがうよ?それ、料理りょうりとはいわないよ?」

正直しょうじき、おゆきちゃんだのみなんです。テヘぺろ♪」

拙者せっしゃ人様ひとさまべていただけるほど腕前うでまえわせていないでござる★」

「う〜ん、このままでは、連休明れんきゅうあけには2人ふたり飢餓死体きがしたいが……」

「ドザえもんとドザミちゃんだね♪」

水死体すいしたいじゃないけどね」

「よし、カレーだ!カレーだったら、わたしとユミでもつくれるはずだ!こまったときのカレーだのみでいこう🍛」

「おゆきちゃんにおまかせします♪」


おそめのおひるはんならぬ、おひるざるそばをべるとねむくなってしまった。

わたしは、学校がっこうでは(自称じしょう)しっかりものとおっているが、いえでは結構けっこうぐーたらなのである。

「ユミちゃん、ごめーん。わたしねむくなってきちゃった」

「じゃあ、お昼寝ひるねしよっか?よるはおたのしみだしね♪ぐふふ♡」

ユミのあとについて、二階にかいがる。

「おきゃくさんはここでてもらうんだ♪お布団ふとんしてるから、むの手伝てつだってくれる?」

われ、布団ふとんたたきを手渡てわたされる。しめされたほうかいながら。

「あれっ?ユミちゃんとわたしって、別々べつべつ部屋へやるの?」

それはちょっとさみしい。はじめていえだから勝手かってもわからないし、よるとか正直しょうじきこわい。

「ううん。わたしもここでるよ♪わたし部屋へやはお布団ふとんまいけないからね」

「そっか」

安心あんしんしたところで。

「こら〜、ユミめー!」

ばしん!

「いつもいつもちょっかいしやがって!コノウラミハラサデオクベキカー!」

などとわめきながら、布団ふとんをべしべしたたいていく。

「もうー、おゆきちゃんたらー」

とユミは苦笑にがわらいだ。

敷布団しきぶとんんでユミにわたし、もう1まい敷布団しきぶとんって移動いどうする。敷布団しきぶとんくと今度こんど布団ぶとんだ。わるころには、睡魔すいまでもうふらふらだ。

「おゆきちゃん、そっちね。ねえ、くっついてい?」

というユミのこえが、ねむりの世界せかいへといざなうラリホーの呪文じゅもんこえる。

いそいそと布団ふとんへともぐみ、

「ほどほどにね」

うと、意識いしきがすぅーっとえていった。


めたとき、ユミのあたまめていた。

おそらく、ユミはわたしむねかおうずめてねむりについたのであろう。そしてわたし無意識むいしきうちに、そのユミのあたまめていたのだ。やすらかでしあわせそうな寝顔ねがお

それをていると、無意識むいしきうちにユミのあたまでていた。しばらくは、ユミのおねえちゃんなんだし、これくらいのことはしてあげてもバチはたらないだろう。

そうやって、ユミのあたまつづけていると、ユミが目覚めざめた。

「ほわああぁぁ」

言葉ことばにならないこえし、しあわせをめているようだ。

っと、きて、

「ぷひゃああぁぁ―――っ!」

奇声きせいはっしながら、一階いっかいへとりてった。

わたし一階いっかいへとりてくと。

おんな寝顔ねがおつめるなんて破廉恥はれんちですっ!」

抗議こうぎされた。ちくしょう、ユミのくせに可愛かわいいぜ。乙女おとめかよ!

時刻じこくは16時半じはん小説しょうせつ資料作しりょうづくりにかろうとすると。

「そろそろ、スーパーへものかない?」

うながされた。不思議ふしぎおもう。

「まだ、はやいでしょ?19くらいになったらね、おにくとかお刺身さしみとかお惣菜そうざい値引ねびきされるんだよ?」

おしえてあげると。

「19ものってたら、晩御飯ばんごはんべるの何時なんじになるわけ?」

と、たずねられる。

そうか、世間一般せけんいっぱんでは、晩御飯ばんごはんわってる時間じかんなんだね。

「お金持かねもちちのいえっていね。値引ねびきしてない商品しょうひん普通ふつうえるんだ?」

ユミはすこ微妙びみょう表情ひょうじょうをしていたけれど。

「ごめん。そんなことかんがえたこともなかった」

わたしこそごめん。ひといえまりにるっていうのは、家庭毎かていごと価値観かちかんちがいを認識にんしきするってことなんだね」

わたしいきおがると、

ものこう、ユミちゃん!いまわたしは『高橋小雪たかはしこゆき』だもん!高橋家たかはしけのルールにわせないとおかしいよね♪」

と、べた。


「カレーっていったら、人参にんじん、じゃがいも、たまねぎに……ほかにはなにがいる?」

「カレーのはこいてるんじゃない?」

「そーか、ルーか。甘口あまくち中辛ちゅうつら辛口つらくち激辛げきつら。ユミちゃんはどれがい?」

冗談じょうだんったら、

「『つら』じゃなくて『から』だからね?おゆきちゃん、そんなに人生じんせいつらいの?」

真顔まがお心配しんぱいされてしまった。どうやら、いまわたしって、『貧乏びんぼう可哀想かわいそう認定にんていされてしまっているみたいだから、そっち方面ほうめん冗談じょうだんひかえよう。

「これでも人生じんせい謳歌おうかしてるよ?で、ユミちゃんはいつも何口なにくち?」

「うちは辛口からくちだけれど……」

「やった、一緒いっしょじゃん!やっぱ辛口からくちだよね?」

「ひょっとして、カレーのかみりてきた?今日きょうはイケるよ🍛」

「そうだよ、イケるよ!ってなにが?」

「メインのはどうする?ぎゅうぶたとり挽肉ミンチ海鮮シーフードなんてのもあるけれど?」

高橋家流たかはしけりゅうでいこう!ユミちゃん、おねがいたします」

「おねがいたされました♪」


晩御飯ばんごはんのカレーは微妙びみょうという表現ひょうげんがぴったりだった🍛

まずいというほどひどつくりではなく、美味おいしいと積極的せっきょくてき意見いけん表明ひょうめいしたくなるほど素晴すばらしい出来映できばえでもなかった。

まえ一度いちどつくったことあったから、イケるとおもったんだけれどな。ただ、前回ぜんかい研究けんきゅうパートナーが実力者じつりょくしゃ我妻有希子わがつまゆきこ九段くだん、つまりわたしのおかあさんだったのにたいし、今回こんかい高橋裕美ちゃんアマチュア10級だったからな。まあこれは、仕方しかたがない。

「ごめんねー。もうちょっと、上手じょうずつくれるかとおもってたんだけれど★」

わたし謝罪しゃざいたいし、ユミちゃんは、

「まあ、仕方しかたがないよね。カレーは専門店せんもんてんもあるくらい難易度なんいどたか料理りょうりなんだから。つぎはもうすこしハードルのひく料理りょうり挑戦ちょうせんしよ☆」

ってくれた。ん?カレーよりハードルがひく料理りょうりなべか?なべしかないのか🍲

なおカレーは完食かんしょくした。当初とうしょ大量生産たいりょうせいさん大量消費たいりょうしょうひによって製造せいぞうコストをげようという高橋説たかはしせつかたむけたのだが、多種少量生産たしゅしょうりょうせいさんによって多様たようなニーズにこたえたいという我妻説わがつませつ採用さいようされ、結果的けっかてきにはそれが失敗作を減少功を奏したとさせたいえる

「ファーストキッスがカレーあじだと微妙びみょうだしね」

うユミちゃんに同調どうちょうして、入念にゅうねんみがき、

「ファーストキッスが歯磨はみが粉味こあじだとだよね〜」

うユミちゃんに賛同さんどうし、念入ねんいりにくちをゆすぐ。

っていうか、もうキスするのは確定かくていなの?でも、おかあさんも『おんな同士どうしのキス』は浮気にならないノーカウントみたいなことってたしな。

もしこのまま、弘毅君ひろきくんとつきって結婚けっこんしちゃったら、生涯しょうがい1人ひとりひととしかキスしないこととなる。ここで、ユミとキスしておけば、うちのおかあさんみたくフランクに、『おかあさんは、そのむかし、クラスイチの美少女びしょうじょとキスしたことあるのよ』なんてむすめ自慢じまん出来できるかもしれない。何事なにごと経験けいけんだよね?

なお、うちのおかあさんが美少女びしょうじょとキスしたことあるかは不明ふめい。そもそも今日きょうまで、おかあさんがキマシとうにおまいだったことらなかったんだから!


恒例こうれい次回予測じかいよそく

ウェ――イ!ショーマこと江口翔馬えぐちしょうまッス。新入生しんにゅうせいのぴよぴよちゃんにも順番じゅんばんかされて、ひょっとしておれってかげうすいの?

〈アッカリーン♪〉

なんか、不吉ふきつおとこえたがしたけれど、のせいかな?のせいだよな。

それにしても、こいつら女子力じょしりょくひくいよなー。カレーって、一番いちばん簡単かんたん料理りょうりなんじゃねーの?

ま、料理りょうり下手へたでも、高橋裕美たかはしひろみおれとつきってくれっていてたのむんだったら、つきってやらんでもないけれどな。(「はぁ?のうみそいてんの?」byユミ)


次回じかいは、いよいよおちかねのレズシーン突入回とつにゅうかいになるとおもうぞ🍥

正直しょうじきおれAVのレズモノとかってきじゃないんだよな。

レズモノだったら、エロマンガとう上陸じょうりくしてむのがおすすめだぜ!

おれのおすすめレズマンガ100せんは……。

(―――次回予測じかいよそく関係かんけいがないので全力ぜんりょくでカットします―――)

でも、クラスメイトの美少女びしょうじょ2人ふたりのプレイとなると興奮度こうふんどちがう🍥

来週らいしゅう放送ほうそうは、自分磨じぶんみがきをしながらたのしませてもらうことになりそうかな。

女子諸君じょししょくんにはわからないかもしれないが、おとこには自分磨じぶんみがきの時間じかん大切たいせつなんだよ。

えっ、おんな自分磨じぶんみがきは大切たいせつ

ちょっとった!たぶん、おれってる『自分磨じぶんみがき』とキミのう『自分磨じぶんみがき』は意味いみちがうとおもうぞ。おれのはエロい意味いみだから。

つーか、キミいくつ?中学生ちゅうがくせいとか小学生しょうがくせいは、こんなエロ小説しょうせつんじゃダメだぞ!

というわけで16さい以上いじょう読者どくしゃみなさんだけ、次回じかいをおたのしみに⚡


(作者さくしゃより)

この『GWゴールデンウィーク2人ふたりきりのよる』ってタイトル、どうかんがえても、内容ないようそくしてないようなので、ちかいうちに変更へんこうします。ごめんね〜★

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