第6話恋バナそして……(後編)

「さてと、おゆきとコーキくんをどうやってくっつけるかよね?」

 ヤサコこと坂下優子さかしたゆうこう。

「はい、はい、名案めいあんおもいつきましたっ!」

 右手みぎてたかげたのは、チコこと三ヶ月智子みかづきともこ

「はい、三ヶ月みかづきさん」

「これは、上手うまくいったら成功率せいこうりつ100%ひゃくパー作戦さくせんだよ♡」

 そりゃあ、なんでも上手うまくいったら、成功率せいこうりつ100%ひゃくパーセントになるでしょ?だって成功せいこうしたときしか分母ぶんぼにならないんだから!

おもったがだまっておいた。

「まず、おゆきちゃんが部室ぶしつ着替きがえてるでしょ?そこにコーキくんはいってくる。はだかのおゆきちゃんと出逢であいました。で、わちゃわちゃやってるところに、わたしたちが大声おおごえはなしながら、部室ぶしつにやってくる。つかるとまずいということで、おゆきちゃんとコーキくんはロッカーにかくれる。わたしたちは5分程ふんほど滞在たいざいしたのち部室ぶしつていく。5分間ふんかんはだかのおゆきちゃんと密着みっちゃくしたコーキくんは、おゆきちゃんのこと意識いしきぎてしまい、告白こくはく結婚けっこん子宝こだからにもめぐまれ、2人ふたり末永すえながしあわせにらしましたとさ。めでたし、めでたし♡どうっ?」

 ドヤがおのチコであるが、作戦さくせんあなだらけなようにおもえてならない。ていうかザルである。

みどころ満載まんさいで、どこからんでいのかわかんないんだけれど。えず、ロッカーってどこにあるの?」

 めた様子ようすで、ユミがたずねる。

「あ、あれ?ないんならそろえる……とか?」

「うち、文芸部ぶんげいぶなんですけどぉ〜。なんのために全裸ぜんらになって着替きがえるんですかぁ?」

「そ、それは、放課後ほうかご、プールでおよぐためとか?」

 ってること無茶苦茶むちゃくちゃだ!

きわめつけは、おゆきちゃんのはだかていいのは、このあま川銀河がわぎんがきる全生物ぜんせいぶつなかでもわたしだけ♡でしょ?」

 これでもかというほど笑顔えがおわたしほうて、バチコーン!とおとがしそうなくらいのいきおいで左目ひだりめじてひらいてみせる。『ウインク』とばれる魅了系みりょうけい精神攻撃魔法せいしんこうげきまほう一種いっしゅである。

 たいするは……。

「アー ジマンノ リキサクガ ユミノ ビーエルショーセツニ マケター★」

 自爆系じばくけい攻撃呪文こうげきじゅもん反撃はんげきする。効果覿面こうかてきめん刹那せつな、ユミはどよーんと、みをせ、戦闘能力せんとうのうりょくうしなっている。しかし同時どうじわたしこころにも、おおきなダメージをこうむってしまった。

「チコのやりかたは、極端きょくたんおもうけれど、2人ふたりきりになる機会きかいやすってのは、いんじゃないかな?」

 ヤサコ先生せんせいの、ありがた〜いお言葉ことばしめされた。

「どうすくなく見積みつもっても、コーキ部長ぶちょうは、おゆきに好意こういっているとおもうわ。ひょっとしたら、ほかきなひとがいるかもしれないけれど、身近みぢか美少女びしょうじょからせまられたら、『っちゃおうかな〜♡』なんてかんがえる可能性大かのうせいだいよ!男子だんしって、そゆとこあるから」

美少女びしょうじょ?」

 おマヌケふう自分じぶん指差ゆびさたずねる。

「あれ?ご自覚じかくナイ?おゆきちゃんは、『寡黙かもくだけれど知的ちてき美少女びしょうじょ』として、クラスで人気にんきあるとおもうんだけどな〜?」

痴的ちてきすくないオンナ?」

うつくしい少女しょうじょでしょ?」

ひくいし、微乳ちっぱいで、コーキくんのご要望ようぼうにおこたえできそうにないのですが?」

「うーん、そこは懸念材料けねんざいりょうね。でも、男子諸君だんししょくんがみんな、おおきなむねきとはかぎらないんだし。近年きんねんでは、むねちいさいほう嗜好しこうあつまっているという統計とうけいもあるそうよ。それに、コーキくんおおきなむねきなら、そだててもらったらいじゃない!コーキくん自身じしんに♪」

「そういうモノなのでしょうか?」

「そういうモノよ♪」

 ノッてきたのかヤサコ先生せんせい元気溌剌げんきはつらつ次々つぎつぎ言葉ことばしてくる。

い、おゆき?オンナは肉食にくしょくなのよ!」

「はあ」

「で、オトコは草食そうしょく。なんでだかわかる?」

 くびをふるふる、と左右さゆうりながら、

「わかりません」

正直しょうじきこたえる。

 ヤサコは調子ちょうしってきたのであろう。いや、ゾーンにはいったのかもしれない。

 おおきくうでって、わたしかおがけズビシッ、と人差ひとさゆびし、

おぼえておきなさい?オトコはにくよ。だからオンナは肉食にくしょく。オンナははなね。だからオトコは草食そうしょくなのよ♡」

ってのけた。チコなど。

「おおっ!そおだったのか?」

 感心かんしんしきりである。

 いきおいにってくるとまらないのが、ヤサコ先生せんせいである。

「だから、オンナはこい狩人かりゅうど主体的しゅたいてきうごいて獲物えもの射止いとめなきゃ♡そうね、タイムリミットは5がつなかばにしましょうか☆」

「タイムリミット?」

 莫迦ばかみたいに、くちをあんぐりけてしまう。

「ええ♪わたし見立みたてでは、成功率せいこうりつ現状げんじょう70%といったところよ。もし慎重しんちょうして、タイムリミットを卒業そつぎょうまでずらしても成功率せいこうりつは80%までがるかどうかは微妙びみょうだわ。一方いっぽうで、狩人かりゅうどられるリスクもてくる★そう、こいはや者勝ものがちなのよ♡」

 たしかにそのとおりかもしれない。さすがは大学生だいがくせいハンターだけあって、説得力せっとくりょくがある。

いまから二週間にしゅうかんあまり。なるべく、コーキ部長ぶちょうとおゆきが2人ふたりきりになれるように、行動こうどうしましょう?」

 文芸部員ぶんげいぶいんでもないのに、文芸部員ぶんげいぶいんたちを指揮しきするヤサコ。わたしとチコは全面同意ぜんめんどうい。ユミは不満ふまんそうではあったが、渋々しぶしぶといったかんじで同意どういしてくれた。

 ユミは彼氏かれしつくるので、わたしおくれをるのがいやなのかな?そのになれば、明日あすにでも彼氏かれしくらいつくれそうなのに?


 わたしとコーキくんの『カップル成立せいりつ大作戦だいさくせん』の概要がいようが、あらかたまったところで、一旦いったん休憩きゅうけいはいる。

 ポテチはほぼ完食かんしょくちか状態じょうたいであったのだが、やはりというかなんというか、新進気鋭しんしんきえいのフレーバー『りんご🍎』あじが、しっかりちゃっかりのこってしまっている。ああ、『みかん🍊』あじにしておくべきだったかと、ちらりと脳裏のうりかすめたが、きっとそういう問題もんだいではないのであろう。偉大いだいなるは、スタンダードなポテチさんたちである。

 そもそもろんでいえば、じゃがいもをりんごやらみかんやらのあじにしようとすること自体じたいが、間違まちがっているのだ。かみをもおそれぬ行為こういわざるをない。じゃがいもは、せいぜいトマトとわせて、『ポマト』くらいがせきやまである。

 ポテチのふくろ片付かたづけたいのだが、1人ひとりべるのはちょっと★

 チコとヤサコはトイレお花を摘みってるので、のこるはユミだけである。

『よし、ユミに始末食べさせよう』と、ポテチをつまんではユミの口元くちもとまではこび、

開けゴマはい、あ〜ん

と、呪文じゅもんとなえると、ユミのくちひらいた。

 ユミにばかりべさせるのももうわけないので自分じぶんでもべるのだが、ユミ3まいわたしまいのペースだったので、反撃はんげきしようとおもったのだろう。

 ユミもポテチをつまんで、わたしくちへとはこんできた。

「はい、あ〜ん♡」

 はずんだようなユミのこえ

「なんかこれ、めっちゃずいね」

 ほおあつい。女同士おんなどうしでこれなんだから、コーキくんべさせいっこしたら、すごいんだろうな。

 なんとか完食かんしょくし、ゆびめる。もちろんばしはあったのだが、自分じぶん使つかったはしひとくちっていくのは失礼しつれいだろうし、チコヤサコがかえってまえ片付かたづけたかったから、べたのだ。2人ふたりかえってきたらわりにトイレ化粧直しくし、はそのときあらえばい。


 休憩きゅうけいえ、ここからはだい後半戦こうはんせんスタートである。

 経験者大人の扉を開いた女性のヤサコ先生せんせいが、生娘3人夢見る乙女にレクチャーをするという内容ないようとなる。ちなみに生娘これは、生娘なまむすめじゃなくて、生娘きむすめむのよ。間違まちがえてたあなたは辞書じしょ調しらべておくように!

 って、なにってんだか。

「はい、それでは、『ひとなつ経験けいけん』にけての授業じゅぎょうはじめたいとおもいます」

 ヤサコの宣言せんげんに、生娘3人きむすめトリオが、『わ〜』パチパチパチと拍手はくしゅをする。

今日きょう一応いちおう、おゆきにけたアドバイスというカタチを採用するとるけれど、ユミとチコもしっかりいておいてね♡まず、最初さいしょっておくわ!コ○ドームは、絶対常備ぜったいじょうびしておくこと☆」

 ズビシッ!とってのけ、サイフのなかから、コン○ームをしてみせる。

「おおっ、これがうわさ名高なだかいコンド○ム……」

 チコが、興味津々きょうみしんしんといった様子ようすで、パッケージにばす。

可愛かわいいでしょ?それはイチゴあじだから、くちでしてあげるときも、ハードルがぐ〜んとがるのよ🍓」

 いきなり過激かげきなワードがしてきた。

「え〜と、くちでって……。おとこひとの……アレ?」

「ええ、そうよ♡」

「わ〜っ、お○んちんだ〜っ♡はいっ!坂下先生さかしたせんせいっ!質問しつもんがありますっ!」

三ヶ月みかづきさん、どうぞ」

「おち○ちんのかわって、けるってうじゃないですか?バナナみたいにたてにピーッ、ってけるかんじですか🍌」

 チコにしては、するど質問問いかけだ。たしかにあれはわかりにくい。かわけるって、とかたりしないのかな?なんかいたそう?

「あ〜、むつかしい質問しつもんきたわね?正直しょうじきわたし実際じっさいるまではよくわからなかったし、いまだってそれほどくわしいとはえないんだけれども……。おゆきはどんなかんじか想像そうぞう出来できる?」

 くびをふるふると左右さゆうって、くちひらく。

「わかんない。やっぱり、バナナとか魚肉ぎょにくソーセージふう?それともみかんみたいにけるのかなー。そういえば、包茎手術ほうけいしゅじゅつってくよね?あれって、りんごのかわくみたいに、メスでおちん○んのかわいでいくのかなあ。いたそう★」

「そっち方面ほうめんではないとおもうわ。ユ……高橋たかはしさんは、どうおもう」

以前いぜんは、日焼ひやけしたあとみたいに、表面ひょうめんかわすこしずつがれていくんだとおもってたけれど……。ぶっちゃけ、クリちゃんと一緒いっしょでしょ?」

 日焼ひやふうか、そういう学説考え方もあるんだ?

って、くり

わたしは、おち……男性だんせいのそれがくりかわみたいにかたいイメージはないんだけれど🌰」

 おもわず、『おちんち○』とくちしてしまいそうになった。いくら気心きごころれたなかとはいえ、言葉ことばにするのはずかしい。

「いや、そっちじゃなくて、リスとたわむれるほう

「リス?何言なにいってるのか意味いみわかんな……あっ!」

 わかってしまった★かおからきそうなほどあつくなる。むろん、それをユミが見逃みのがすはずもなく。

クリとリスのことですよ♡」

 ユミがにやにやによによしている。ずかしいけれど、好奇心こうきしんまらない。

「えーと、そのー。かわけるの?」

「あらっ♡ごぞんじない?かったら、おじさんがいてしんぜよう♡」

 ぞぞぞっ!おっさんモード全開ぜんかいのセクハラ発言はつげんだ。ユミのがわきわきしていて、貞操ていそう危機ききかんじる★

「はい高橋たかはしさん、そこまで!」

 坂下先生ヤサコがピシャリとおさえてくれる。抑え投手クローザーにしたら、はたらきをするにちがいない

高橋たかはしさんのうとおり、お○んちんっていうのは、クリとリスの男性版だんせいばんらしいのよね。

 おち○ちんのかわかたっていうのはね。

 かわをかぶってる状態じょうたいで、さきほうって根本ねもとかってうごかすと、先端せんたん露出ろしゅつするの。

 バナナがキノコになるかんじかな🍄イメージとしてはマツタケにちかい?」

「バナナがマツタケになるって意味いみわかんないよ?う〜、もやもやする〜。ショーマあたりをすっぽんぽんにひんむいて、おちん○んのかわいてみたい」

 チコが不満ふまんらす。

わたしも、てみたいとはおもうけれど、それやったら犯罪はんざいだからね?」

 釘刺くぎさしとかないと、チコが暴走ぼうそうしかねない。

「でも、『おっぱいせてあげるから』ってったら、ショーマだったら、ち○こくらいせてくれそう♪」

 釘刺くぎさしたつもりが、さってなかったらしく、チコが暴走ぼうそうした。

「でも、自分の胸私のおっぱいとショーマの粗末なモノそちんじゃわないでしょ?」

 さりげにユミがショーマくんをディスる。

「そうだよね〜。おっぱいせるんだったら、ちん○さわらせてもらって、射精しゃせいまでせてもらわないとわないなー★でも、射精するイクとこせてくれるんだったら、おさわりなしでおっぱいせるくらいならいよね?」

 チコ基準きじゅんは、『女子じょしのおっぱい』=『男子だんし射精イクところ』かあ。その交換こうかんならばわるくな……いやいやいや。ダメでしょ?おんなはもっと自分じぶん大切たいせつにしなきゃ!

たしかに、オトコの射精しゃせいには興味きょうみがある。でも、それとえに自分じぶんはださらせないな。だってわたし素肌すはださらすのは、おゆきちゃんだけってめてるから❤(ӦvӦ。)」

 熱っぽい視線スキスキビーム発動。ギラン、とおとがしそうなほどである。わたしおとこだったら、おもわずれてしまいそうだが。

「はいはい」

 ユミの冗談じょうだんをさらっとながす。

本気ほんき告白こくはくをスルーされた〜!」

 なげくユミ。あんたは冗談じょうだんばっかってないで、本気ほんききな男性ひとをみつけて、せまればいのよ。ユミならたいていの男子だんしとせそう。

 でも、ユミのきな男性ひとのタイプってどんなかなあ?

 そのも、坂下先生ヤサコ授業じゅぎょうつづいたのだが、あまりにも白熱はくねつした内容トークに、放送禁止用語書いちゃいけない言葉多発てんこ盛り

 割愛かつあいさせていただきました(なみだ)

 でも、その成果せいかはきっと、コーキくんとのひと夏の経験初体験かされる?

 でもでも、そのまえにちゃんとコーキくんとお出来るのか、不安ふあんだよ〜お(なき)


 次回予告じかいよこく

 コーキこと、河野弘毅こうのひろきです。

 おゆきさんの予測通よそくどおりり、むすめ小雪こゆきさんはいなくなってしまいました。

 のこされたおゆきさんはどうするのでしょうか?

 次回じかい最終回さいしゅうかい、『タイムトラベラー』をご期待きたいください。


 予告よこくでは、『最終回さいしゅうかい』となっていますが、この小説しょうせつ自体じたいはまだまだつづくそうですよ?

 どうなっているのかって?

 それは、ぼくかれてもこまります★

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