第12話 共作のビジョン
今回はもうちょっと具体的に、共作のビジョンみたいなのを語っていきたいと思います。
前回も言ったのですが、共作と言ってもわたしはあくまで従の立場に徹するつもりです。原案者さんのやりたいことを重んじ、その上で自分なりの方法論を提示していければな、と。イメージとしては監督に対する脚本家ですね。それも脚本家で話を全部決めるんじゃなく、監督との共同脚本という感じ。
作品の方向性としては、リアリティラインがそう高くなく、エンタメ性を重んじた気楽な読み物がいいなあ、と考えています(暗い話がダメってことではないです)。
力になるのが難しいのは、たとえば、純文学。人間ドラマ主体のもの、競技もの、戦記もの、恋愛ものなどです。他にもいろいろあるはずですが、ぱっと思いつくのはこのあたりですね。知識とか経験とか以前に話の構造からして、わたしのノウハウが付け入る隙がないだろうと。
SFやファンタジーは原案者さんの中でちゃんと設定が固まってれば、まあ、どうにかできないこともないと思います(世界観を重視しないならふわっとしててもいいです)。
また、基本的にわたしがお貸しするのは、ミステリ的な考え方になります。といっても、本格ミステリほど厳格で理屈っぽいものじゃないです。あくまでストーリーを盛り上げる手法として、謎や伏線、どんでん返しなどの要素を盛り込みたいと思っています。その辺のさじ加減は、原案者さんにお任せしたいです。個人的にも、無理にミステリにこだわらずおもしろくなる方向性を採用したいと思っています。
余談ですが、わたしがぼんやり理想としているのは、『魔法少女まどか☆マギカ』のようなキャッチーでサプライズに満ちた物語です。
わたしなりの分析になりますが、まどマギがあそこまでウケたのは、ミステリの手法をいいとこどりして用いていたからだと思います。
まどマギ以降、衝撃的な展開を売りにしたオリジナルアニメが何作かつくられましたが、まどマギほど徹底してミステリをやっているものはなかったと思います。だから、まどマギほどヒットしなかった。
具体的に何が違うかというと、衝撃的な展開に対して裏付けとなる伏線があるかどうか、それがきちんと作中でわかりやすく提示されているかどうかだと思います。
作品名は出しませんが、展開をエモく演出することばかりに気を取られてろくに伏線を張っていないものもあれば、おそらく設定的な裏付けがあるのにそれをあえて説明せず視聴者の解釈に委ねている作品もありました(それはそれでかまわないのですが、大衆ウケはしないと思います)。
その点、まどマギは、おもしろさの肝がまるでミステリの解決編のようにわかりやすく、伏線による説得力があった(行間がない、ということではありません)。しかもミステリの解決編ほどくどくなく、映像的な華もあった。本当にいいとこどりしてるなあ、と。
特に続編の「叛逆の物語」は本格ミステリ以外の何物でもない内容になってます。続編ありきの企画でもないでしょうに、どうすれば、あそこまで完璧なプロットが構築できるのでしょう。本当に惚れ惚れするようなフーダニットの作劇をやっています。
もちろん、まどマギのやり方だけが正解ではないのですが、わたしにできることの方向性を考えると、あの作品をお手本にするのが最適解なのかなと思います。
話を戻して、わたしにできることの話です。ストーリーに関してはミステリから離れたところでもある程度力になれるかなと。主題の表現方法や、盛り上げる方法を考えます。
作業としてはまず、原案者さんの構想を共有するところからはじめたいです。
単に構想を見せてもらうだけじゃなく、こちらからも質問して方向性を確認したいですね。
プロットはある程度できていてもかまいませんし、まったく形になってなくてもかまいません。求められる範囲内で叩き台となるプロットを考え提出します。そこからまたすり合わせていくことになるでしょう。
後は原案者さんの希望次第なのですが、シーンごとの演出なんかも考えます。
逆にこれは頼まれてもできないよってこともあります。
前回も言いましたが、考証の類は期待できません。人物造形もリアル寄りなのは無理です。わたしのやり口は基本、プロットによって身も蓋もなく決定されるキャラクターの振る舞いをいかに表現するかってとこにかかってるので。
と、なんだか売り込みみたいになってしまいましたが、今回はこの辺で。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます