第16話 解放..破壊..増加...。
〝D-I〟
裏の世界では名の知れた殺し屋だったがその正体は謎に包まれていた。元傭兵のスパイだとか裏格闘技のチャンピオン、実は女など様々な憶測が飛び交い一部の箇所を賑わせている特秘な存在。
「まさかそれが、若干17歳の無垢な少年だとは思いませんものね。」
「……」
『僕が伝えた情報だよね?
言い方までもそのままだったけど?』
「なんでこんなクソ組織に加担しているのかしら。頭悪いの?」
「……」
『人間性出ちゃってるから、口の悪さとか。不器用なのかな、バカなのか』
D-Iよりも口数の多い通信機もそれなりに人間性を表している。口が悪いところとか。
「……!」
「あら毒針ですの、有無を言わさず始めなさるのね。関心ですことよ!」
『馬鹿の癖に〝有無を言わさず〟とか言った、意味わかってんのかな』
「迎え撃って差し上げるわ!
光栄に思いなさい?」
キャミーの武器は高性能改良型パラソル。護身用に例の爺やが改造し、つくりあげたパワーウェポンだ。
「貴方はね、近付く事すらままならないですことよ!」
アタッチメントで傘を広がれば盾となり、先端からは銃弾を速射可能。傘を閉じ、直接振っても近接武器の役割を果たし、更に他のアタッチメントで伸縮を変えたり形状を変えたり自在に変化する。クドウシドウ、はたまたキラーズ・グアトロよりも多様なのはこのお嬢。皮肉にも技術の勝利だ。
「……」
「すばしこいわね、これならどう?」
アタッチメントをプッシュ、傘は孔雀の羽根のように展開された槍と化し、大きな範囲で隔離して一人を狙う。
『傘でもなんでもないじゃんこれ』
「行きなさい、蛇腹槍!」
「……」
輪の中の獲物を突かんとゆらゆら揺れる不安定な無数の槍が付け狙う。
「そらそらぁ!」
『アレって槍なんだ、タコの足みたいだわ』
「イカの足よ!」『違いあんの?』
「……」
ステップを利かせ器用に避けつつ反撃の機会を伺って様子を見る。
「そらそこ!」
不意に打ちつけた槍を避けきれず、手持ちの刃で受け止める。
「甘いですのよ!」「……!」
止められた槍は刀をあてがわれた箇所から節を持って折れ曲がりそこから新たな槍として追撃を与える。
『何あの動き、つくづくタコの足みたいだね』
「イカの足!」『だから何が違うの』
直線的な動きの槍は別方向から衝撃を受けると方向を転換し、回転するようにそちら側へ進む。一定までそれを繰り返し、無意味だと判断すると方向をまた立て直す。無機質だが息をしているような不気味な行動を取る。
「さぁ存分に傷を負いなさい」
「……」
しかしD-I流石伊達にそのソシャゲのチュートリアルみたいな名前を名乗っていない。己の肌に触れる前に曲がる槍の先端を節からへし折り手に握る。
『やるね。』「やりなさい!」
それを武器とし残りの槍を折るなり断つなり壊すなりして牽制していく。
「ちっ、このモードじゃ駄目ね!
戻しましょう。」
『バカ、よく考えろ!』「え?」
隔離から解放されたD-Iが、刀を持って正面から襲撃する。
「なんですの、急に?」「……!」
『危ない、盾の機能があって良かったねホント』
「それより貴方、今ワタクシにバカと申しませんでした?」
『何の事だよ、気のせいだろ。』
言った、はっきりと確実に言った。
「あといつまでくっ付いているの、早く離れなさい!」
「……!」
近距離で弾丸の速射、威嚇ではなく仕留める目的で撃ち込んだ。
『距離とか考えられないの?』
「うるさいですわよさっきから、説教はきかない主義なの。それに見なさいきちんと距離は確保したわよ?」
『そりゃあんだけ近くでぶっ放されちゃ後ろ退がるでしょ』
「貴方は人を嘘でも褒められないの?
いつも貶してばっかりですわ!」
『それはお互い様、だいたいさぁ..』
「……」『どうした?』
「お相手の方が突然缶ジュースを..それも二本。」
『何してる?』「振ってますわね。」
缶ジュースを振ってタブを飛ばす、通常なら単なる一服だが、裏では有名な動き。
『離れろ、今すぐに!』
「何ですって?」
『いいから、それはジュースなんかじゃない。爆弾だ‼︎』
「なっ..!?」気付く頃には足元に。
爆風は喉を潤さず、破壊を促す。
アルカディア施設前
「ウガアァァッ‼︎」
「アイツ暴れすぎ」「定まらんね」
不規則な動きに標準が合わず弾がきまらない。範囲も限定されている為弓より当たりが難しい。
「手を焼きそうだな。」
「ホントだよ」
「よく一人でやってたねコレ」
「私のときはまだ人間体だった、これ程までに凶暴で素早くは無かった。」
「いや、元々も多分凄いよ」
「ベースが元の人だからな」
獣化の変態は元々の人のステータスを超絶的に拡張させ、そこに上澄み程度に獣の遺伝子を注ぐのみ。つまり元の人の腕力が高ければより高くなり、脚が速ければ更に加速する。モノを言うのは媒体となる人間体なのだ。
「そうだったのか..」
「中には例外もいるけど、途中で害虫に襲われちゃった奴とか。」
「いたねそんなん、それよりなんでアイツはずっと警棒持ってんの?」
人間体の名残なのか、握った警棒を離さないでいる。武器として使用している訳でなく、ただ手に持っている。
「未だ人であるという事か..」
「なんだそれ」「だっさいな。」
弾が当たらず手の施しようがなく、コンクリの床に腰を下ろし座り込んで休んでしまっている。楽しそうだと好奇心で来てみたもののハズレくじを引いた。
「ウッガアァァッ!!」
「危ない!」
ライオン獣人指導長が床を爪で抉り、コンクリ片を投げ飛ばした。
「大丈夫か?」
「...それだ。」「なにが?」
破片を砕いたナイトの矢を見て兄のクドウが何かを閃く。
「兄さん、ちょっと腕に貸して」
「何?」「腕..金属の腕か?」
装飾品の金属に何やら細工をし始めた
「ここをこうして..こうで、いけそうだなコレ。」
「何してんのさっきから、人の腕イジッて。ごめんねヒーローさん」
「いや、一向に構わないが..何をしているんだ?」
「ここにハンドガンをハマれば..よし完成。シドウ、お前アシストな?」
「は、なに?
どゆことよ説明してくんない?」
銃の標準で当たらないなら、弓の標準まで上げてしまえばいいという単純な発想から、ナイトレイの腕に手製の発射台を設置してしまった。
「これで撃つのか、なかなかやるな」
「手ェのばして」「ホントやるよな」
伸ばした腕に寝そべる形でハンドガンを持ち狙うスタイル、ナイトにはデメリットしか無い自己中システム。
「これで狙いが定まるのか?」
「大丈夫。三発で決めるよ、四発か」
「いけるからマジで」
相手が固定でなければこちらを固めてしまえばいい。
「ウガアァァッ!!」「くるぞ。」
「取り敢えず支持した方向に腕伸ばしてくれる?」
「わかった。」「れっつご〜。」
「みぎ。」まず一発目、軽くヒット。
「んでひだり。」二発目難なくクリア
「最後うえ。」ピンポイントヒット!
「あとは決めな〜シドウく〜ん。」
「はいよ。特製強化弾、炸裂っと!」
撃ち落とされたライオンに締めの一発
身体一面が振動し、衝撃を爆散させる
「ふうっ、まぁこんなもんっしょ」
「これ腕乗らなきゃ出来なかった?」
遣り方は好奇心強めに乗った感じを匂わせるが結果はプロ仕様、予告した段数で見事仕留めた。
「ありがと兄さん。
さぁて確認刺しといきますか」
「生存確認しないとね、どこぞの殺人鬼じゃあるまいし。」
前述の獣人達のように跡形も無く消し去った訳では無いので形がしっかり残っている。シルエットは以前の人型に縮まり床に突っ伏し倒れたままだ。
「ウッ..ぐう...ああ..!!」
「あれ生きてんぞ」「息してるね。」
「よるなぁ!
やめろ、近付くなっ..!」
顔を見るたび焦燥し、後退りをして距離を取る。
「どうしたコイツ?」
「なんかの副作用じゃね?」
「離れろ、離れろぉ!!
近付くなはやく、離れ..あれ?」
「今度はなに」「忙しい人だな」
「警棒がっ、警棒がないんだよ‼︎」
手元に握っていた警棒が無いと、慌てた顔で騒ぎ立てた。
「警棒探してんだってさ」
「それってこれ?」
「あった!
警棒だ、警棒見つけた。返せぇ!!」
「狂ってんのか?
つーかなんでお前それ持ってんの」
「何かに使えるかもと思ってさっき腕から外してみたんだけどこのザマよ」
悪戯根性が事態を招いた。
起きたての芯の抜けた人間を脅かす、大きな要因となっている。
「なんかコレ必要無かったみたいだ」
有無を言わさず独断で警棒を握り潰し粉々に破壊する。
「お前マジかよ、容赦ねぇな。」
「ああぁぁっ!!
警棒がっ、警棒が壊されたぁっ‼︎」
「そんな大事?」「ただの棒だよ?」
「バカァ!
あれは世界の楔(くさび)だったんだよぉっ!?」
最早人格は歪み破壊者に恨み節、それ程に重要なものだったのか?
彼は戦闘指導長の傍ホラー部門の規制長も務めていた。規制長は表現を制限するだけで無く、力ある者の力を直接奪う事がある。グレイトマンやナイトレイがその例だ。
「警棒に力のチップが入ってた?」
「だから大事に抱えてたのか。」
遣り方は分からないが、摂取した物理的な力をデータ化し保存する技術、これを使って力を奪い取っていた。ホラー部が奪ったのは直接的力の欠片とそれを超える量の殺人衝動。世に蔓延る殺人鬼や幽霊、恐怖を媒介する者達が再び活気を取り戻し、凶器を握る。それは勿論あの男も、世界が今..大きく動き軌道修正の準備を始める。
「バカなのか青年よ!
はやるのはわかる、だがしかし!
キラーズ・グアトロが互角のこのオレに、お前一人でかなう訳はない!!」
「ハッキリ言われると多分その通りなんスね、どうも参りやした。」
集めた武器も底を尽き、死亡回数はゆうに80を超えていた。
「ほう、己の弱さを認めるか!
中々素直な男だな!!」
「そうっスね、まぁホントの事みたいっスから。..だけど認めるのは一つだけっス。」
「何、どういう事だ!?」
「アンタとアイツは互角じゃ無いって事。..後ろ、見た方がいいっスよ?」
「後ろ...うあっ!」
振動する刃の一閃、しかし以前より重みを増し痛みが身体をほとばしる。
「くっ..なんだこの力は!」
「.....キル..!」
「そうか、取り戻したんスね。
だったら身を引きますかね、危ないんで。」
ターゲットを持たない殺人鬼にとって
目に付いたものはモノはみんな殺しの対象。逃げるが唯一の手立てだ。
「くっ、尚もオレを殺すつもりか!」
「....!」
食い込ませた刃を動かしウネウネと道を作り何かを探っている。
「お前..まさか!」「...ミツケタ..!」
爆破をしても壊れなかったチップを先端で甘噛みしつつ、一気に振り下ろす
「データチップを壊しただとぉ!?」
人間性が熱く態とらしい故陳腐な風味を感じるが、した事といえば腹にチェーンソーの刃を入れ、中の異物を破壊するといった単純作業だ。力があれば誰でも出来る。押して下に下ろす、これだけだ。これで世界が救われる。
「..ん?」
『どうしたのお兄ちゃん』
「いや、どうだろうな。
まだわからねぇけど、こりゃ多分」
「何グダグダ言ってんだテメェ‼︎」
『危ないお兄ちゃん!』
「なぁコイツどうするー?」
「やっぱとどめさすしかな」
「待ってくれ..。」
「なに、どうした兄さん?」
「弓引いてるけど、それも素手で。」
「試してみたいんだ、きっとそうだ。
今頃お前にもか、グレイト?」
長い間無くしたものが、手元へ還る。
弓の名手は装備を外し拳の戦士、左を使い、馴染んだ力を試し撃つ。
「かえって来たぜ、オレの元に。」
「何言ってんだぁ..?
土にでも還るかテメェ!?」
「来いよ、右じゃねぇから本調子とはいかねぇが食らわせてやる。」
〝グレイトフルバレット〟
照れ臭くも懐かしい技の呼称かつて猛威を振るった英雄の拳の名だ。
「がはっ..!」「先行くぞ」
「ま、待てっ!」
「悪りぃけど、お前じゃ無理だ。
ヒーローをなめんなよ?」
顔つきが変わった、何もこの男だけじゃない。全世界のヒーローが、この瞬間から、元の威厳を取り戻している。
「嘘、マジっ?」「跡形無しじゃん」
「忘れかけていた、自らの名を。
..私は銀弓のナイトレイ、細やかながらヒーローをやっている者だ。」
一段階の目的は果たした、意外にもあっさりと。それも人の力で。力を取り戻し、表現を取り戻し、それでも尚恩恵を受けない者がいた。それは何より気を配り配慮するに至る繊細なもの、
グロよりも、ゴアよりも、身近かつ注視されやすい、〝エロ〟の概念。
「酒と男と女..男でも女でも無いワタシにとっては関係の無い話だけど、そんなに重要?
何の為にそこまで意地を張るの?」
「よく言うわ..!
貴方が規制をかけたくせに」
「仕方ないじゃない、ボスに言われちゃったのよ、ね?」
「組織に属す必要あるのか..お前。」
「あらぁ褒めてくれるの?
嬉しいわねぇ坊や。」
結果的に助太刀に入ったマスメディアの二人も魅せる事なく床に膝を落としている。
「流石元傭兵、並大抵の戦闘力じゃないわ。」
「随分昔の事を知っているのね、情報屋さん。」
「へぇ〜傭兵さん!」
「そうよ?
堅苦して窮屈な処だったわぁ、良いオトコはいっぱいいたけどね♪」
「そうよねぇ..あたしのトコにも何度か来たわ、軍人さんは堅いのよ。良いオトコはいっぱいいたけどね」
「わかってるじゃない」「そう?」
感覚は似通うも相入れない二人、関係性が表現者と抑制者、立場というものは何故あるのだろうか、邪魔な足枷にしかならないというのに。
「もういいわよね?
長引かせても時間のムダよ」
得意のトンファーを腕に握り傭兵へと顔を戻す。
「タフね、ほんとに。
男だったら惚れてるわ」
「有難う、ワタシはアナタに惚れはしないけどね。タイプじゃないの」
万事休すか、死を受け入れた女の顔はどっと疲れきっていた。
「終わりよ、お嬢さん?」
「待て!」 「...誰?」
「ワンワン!」「うそ、犬なの?」
現れたのはブラスター。
満を持して現れたのが迷子の犬か、これぞ万事休すである。
『その声、街のお姉さん?』
「この声..ぼうやかしら。」
『そう、なら当たりだね!
丁度困ってそうな人の処に着いた』
「どういう事?」
『うん、それがさ!』
力の表現が解放される事を見越して幾つか世界に救援信号を出しておいた。活気を取り戻した人々を助っ人としてアジトに招いた事になる。
『今は少ないけどこれからバンバン来ると思うよ、恨みがあるのは皆同じだろうしね。』
「それで俺がここに来たってワケだ」
「..初めて見るわね、どなた?」
マントを羽織る大きな男、コスチュームが英雄の証をしっかりと表現している。
「俺はパワースター、ゲイトシティを守るヒーローだ。敵はお前か?」
「あらワタシの事言ってるのね、皆目一番敵視するとはデリカシーないわね
言うほど強い男なのかしら!?」
「..久し振りだぜ、この拳を振るうのは。身を持って知りやがれ、俺の拳
〝スターライト・パンチ!〟」
轟く星の輝きを示す奇跡の拳、蘇り今唸る。
「なんだか騒がしいですわね。
なにかありましたの?」
『..わかんないけど、外からなんか一気に信号が増えてるよ。』
「イヤな話ですわね、役立たずが増えたら処理も困るというのに」
『こっち攻めてきたら嫌だなぁ..』
中で暴れるグレイト達やマスメディアの連中は、相手の幹部が強すぎて目立ちにくいが通路を蠢く下っ端幹部共を倒しつつ進んでいる。故に外からの追加侵入者と聞けば安心は出来ず、下っ端がさらに増えるのではないかと頭を抱える次第なのである。
『そんな事よりそっちはどうなの?』
「あーら聞きますのね、当然ワタクシは無傷ですのよ!」
『だろうね、それは知ってる』
傷を負う程の手間はかけない、そういう女だ。
「お相手の方は、そうね..生きてる。
と言ったところでしょうか?」
「......!」
ワガママ金持ち女にマウントを取られる、この上ない屈辱であろう。
「何それ?」
アルカディア内別方面
「よし、この先に奴は。」
「やっとみっけたけどオジサマ」
「..小僧か。」
誰よりも先に入った二人が誰よりも奥で顔を合わせる。
「まさかアンタが〝ソッチ〟側だったなんてさぁ、ビックリするよなー」
「ソッチ側?
まるでこちらが悪のような言い方だなコンプライアンスは正義なのだが」
「在り方なんか知らないよ、コッチは組織でもないしね。ただ敵対してるのは事実でしょ。〝おれらにとっては〟って意味だよーん!」
村の迫害者ガロス。
正しくはコンプライアンス特殊幹部
ガロス・ヴァイパー
役割は、マスメディアの首を取る事。
「何故あんなものに従っている?」
「従ってなんかないけど、楽しそうだからノっただけよ。ていうかマスコミの連中みんなそうだと思うけど。」
バウンティハンターをやっているのも犯罪者を捕まえるのが楽しそうだという只の好奇心、気の向くままに動く娯楽に飢えただけの人生、彼の生きるテーマは暇つぶしだ。
「付き合ってられるか、暇を持て余すなら一人で完結してて貰おう」
「..いや、おれの暇は充分潰れてるよ
ただ忠告に来ただけさ。コッチの首を取ろうとする者がいるならば、〝逆も然り〟って事をさ?」
「逆も然り?
..一体何を言っている」
「今の話は本当か?」「...お前..!」
「ね、正義のご登場でーす」
ヒーローは遅れて現れる。
拳の英雄グレイトマンここに参上す。
「何しに来た、私に用か?」
「とぼけんな。
その錠前から全部聞いたぞ」
『おじさん僕らを裏切ってたんだね』
錠前を探索し、漸く見つけた矢先の話であった。衝撃よりも理解が馴染み、素直に裏切りを受け入れ理解する事が出来てしまった。怒りはどこに消えたのか。
「村からよく逃げれたと思えばそういう事か、おかしいとは思ったが。」
「逃げる?
あれは元々私の村だ」
「何ぃ?
じゃああの村人はなんだってんだ」
「私の部下だ。」
自作自演で救出劇を造り上げ、味方という意識を高め騙し続けていた。施設の錠前を開けたのは、村での滞在期間が長過ぎた為セキュリティの変化に対応する必要性があったからだ。
「なんだよ、結果みんな造り話でオレを騙くらかしてたって訳か、くだらねぇ事しやがるなオイ。」
「いや、違うな。
偽装はしたが嘘は付いてない」
「おい、それってまさか...てめぇ!」
「どうしたんスかヒーローさん?」
自作自演は施した。
だが村で起こった出来事は〝微塵の改変も施していない〟という事だ。
「ガキを..殺したのか?」
「仕方が無かった、村での反乱分子は残らず消せという命令だからな。」
自我で殺した子供達を自らを上げる為の要素の一つに利用した。初めからその程度だとしか思っていない、何故なら自分と同じ思想では無いから。
「彼等のお陰で私はここにいるのかもしれぬな、心より感謝する」
「外道もいいトコだ。
てめぇに関しては少しばっかり行動を
規制(わきまえ)やがれ!」
失くした怒りを再び取り戻す。力に加え猛る叫びを。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます