エピローグ。
今後はもっぱら仕事のネタ帳になるはずの婚活ノートは、今も大事にとってある。
ページを一枚ずつ繰ってみる。
「別名、『珍魚図鑑』だな」と思ったら、ふふっと笑いがこみ上げた。
最後のページはNo.34。
本当はもっと続くんだろうと半ば惰性で思っていた。
ところが、No.35くんになるかもしれなかった高野と、こうして結婚してしまった。
いま私は幸せだ。
恋愛のピークとして、あるいは恋愛の延長上に結婚があるとしたら、と何度も想像はしたことがあるけど、この気持ちはそれをはるかに超えている。何ごとも、実際になってみないとわからないものだ。
ちなみに蛇足ながら、結婚が決まって籍まで入れてしまった「引き寄せ」の年。
最後に引き寄せられてきたのは、昔の会社の後輩だった。
突然、「真奈絵さん、前にいい人いたら紹介してって言ってましたよね?」と連絡してきて、「漁師でよかったら、秋鮭漁が終わったタイミングで紹介しますけど」と言ってきた。
「あ、うん。覚えていてくれて、連絡もくれてありがとう。でも、私、結婚することになったの」
そう答えると、彼女は電話の向こうで「えーーーーっっ!」と驚いていた。
「そんなに驚く?」
もはや、こういうやり取りも快感だった。
「いや、漁師でよければですけど、かなりおすすめの人だったんで」と言ってから、「でも、よかったですね、おめでとうございます」と祝福してくれた。
最後に「アラフォーギリギリでも、ちゃんと結婚できるんですね」と漏れた本音はご愛嬌だった。
でも、本当にそうだ。
いくつになっても、可能性はあるし、諦めたらそこで終わりだ。
というわけで、私の婚活物語——オトコの海を泳いだ記録——はこれでおしまい。
私は
婚活を終えて、私が得た結論は——。
『結婚から始まる恋愛もある』
少しだけ変わったパターンかもしれないけど、私の片思いから始まった私たち夫婦の恋愛は、まだまだ現在進行形なのだ。
***
最後までおつきあいくださった方々、本当にありがとうございました。
「転んでもただでは起きない」「災い転じて福となす」の精神で生きてきた私でしたが、いくらネタにできるからと言って、こんな活動しなくて済むならしたくなかったと思うほど、婚活では辛酸をなめました。想像以上でした。
でも、なんとか結果を出すことができて、さらにはすでにあちこちで婚活の関連記事を書く機会もいただいて、文字通り大切な糧として存分に活かせています。
数々のありがたくない体験も、まさに福となったわけで、「今となっては笑い話」でもあります。
終わり良ければすべて良し——高野にも本当に感謝しています。
こちらのお話ではゴールだった私の結婚については、その部分にフォーカスした物語——結婚に至るまでと結婚後の詳細な記録——を別の形でもう書き始めています。
また、そちらでお会いできたら、うれしく思います。
そして、そこに絡んできた不思議な成り行きについても、近い将来、詳しく書いてみたいと思ってます。
フリーライターとしては、活かせるネタは何倍にも膨らませて使い倒す所存です!
このあとはおまけで、登場した人たちのその後についてと、言及しきれなかったオトコたちの記録を番外編として掲載します。お時間と興味のある方はお読みくだされば幸いです。
フリーライター 高野 真奈絵(旧姓 北沢)
***
【この物語は、実話を翻案したフィクションです】
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