第5話 武術は1日にして成らず
師匠は何かにつけ小姑のように五月蠅かった。
ナニカにつけ―
「ココが試練の時!めげないマン!
!d(*´ω`🎀)」
を口癖にし―コチラの気持ちを逆撫でし―
課題を繰り出す。その言葉は叱咤激励を地でゆき繰り出すごとに厳しさは増してゆき、熾烈な罵詈雑言を吐きかける。
上手くやり遂げたときには
「麗煌できると信じてた!」と相好を崩しながらのサムズアップをしてみせ、その師匠の仕草をもっと見たくて更成る意味不明な修行に励んでいたようにも思う。
修行内容といえば、
コレが何に役立つのか?という師匠曰く(?)の試練を毎日ありがたく与えてくださった。
例えばソレは、読書なんてしたことすらないにも関わらず、ひたすら本のページをパラパラと高速でめくり、読むに読めない字面を追う作業…だったり、ある時には
礼儀作法としてのお辞儀斜め45度の角度からの上体を起こしての挨拶で、眼前にかざす
パーの指の形だったりした。
正直、生活に根ざした行動だとは思うがとても【修行】に役立つとは思えない。(精神)【修行】の一貫だろうか。
最初の出会いの言葉を想い起こす。
―まずは礼儀から教えねばいかんかのいう―
確かにウチは育ちは良くない。でも、それは途中からの思わぬ出来事からだ。
決して始めからではない。今では当然に染み付いてしまってるけれど少なくとも家庭が機能している間だけは
―育ちは悪くはなかった―
かつての自分を取り戻そうとするように
今までのヤサグレた、直情で短絡&荒削りな
姿勢を省みながら師の特訓に応えようと
己の限界まで挑む。
そうしている内に憂鬱な気分は不思議と晴れて昨日より、今日、今日より明日へと高揚し
人間としても生まれ変わった錯覚を覚えるまでになった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます