第5話 略奪愛(1)

1994年、まだ、携帯電話は一般的ではなく、一部の人しか持っていなかった。


ある春の日、会社の先輩たちに「花見をやろう」と誘われる。皆「誰でも呼んでいいよ」と言う。

僕は、以前、爆弾の作り方を教えてもらおうとしたミリタリーオタクのシンくんを誘った。


彼は、ちょっと可愛い女の子を連れて来た。なっちゃんと言うらしい。

僕がアウトドアの椅子に座っているとそれを見上げる目が、すごく可愛かった。


その後、シンくんと連絡が取れなくなるが、

ある日、シンくんから電話があった。今、彼女の家にいるらしい。

僕は、「シンくんと連絡できないといけないので、そこの電話番号教えてくれない?」


僕には嫌らしい思惑があった。


僕は、なっちゃんの電話番号を手に入れた。

ある夜、なっちゃんに電話し「家どこ?今からちょっと会いたいんだけど」

というと、あっさり部屋を教えてくれた。

僕が原チャリでそこへ向かうとなっちゃんは、部屋着で迎えに来てくれた。


僕は、なっちゃんの部屋に入り浸る様になる。

シンくんは関係ない。

僕は、自分の欲求が抑え切れなかった。

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