卒業

卒業の日

 3月2日。釜揚高校の校門には「卒業式」と書かれた看板が立っていた。

 今日は釜揚高校の卒業式だ。3―Dの教室では卒業生たちが談笑していた。

 城ヶ崎しげるが安永拳に近づき話しかける。


「よう、リーダー」

「おいっす、ヤスケン。よく卒業できたな」

「おいおい、『よく卒業できたな』はないだろ?まるで下手したら卒業できないみたいなセリフ言いやがって。ま、ギリギリだったけど」


 しげると安永の二人に三日月モモが近寄る。


「おはよう、お二人さん」

「おはよう、モモッチ」

「ヤスケンも無事に卒業できたことだし」

「ちょっと、モモッチまで俺が危うく卒業できなそうなセリフ言っちゃって」

「ふふふ、ごめんなさい。そんなにすねないで。よしよし」


 モモが小さい子供をなだめるように安永の頭をなでる。すると、安永は子供のようにおとなしくなってしまった。


「安永くん……君はモモッチの犬か」


 おとなしくなった安永に向かってしげるが皮肉った。すると、スピーカーから放送が流れ始めた。


「卒業生の皆さんは体育館に集合してください」

「じゃあ、行きましょうか」


 モモの一言で3人は体育館に向かった。

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