キセキ

「なんでだよ?!手術成功したっていったじゃないか!」


 しげるがタックに言い寄り、タックの襟をつかんだ。黙ったまま唇を噛みしめるタック。

 モモは何も言わずにその場で膝を落としてしまった。

 モモが膝を落とした瞬間、袋からミッフィーが飛び出した。

 ミッフィーは跳ねながら、安永のベッドに向かった。そして、動かない安永のお腹の上に乗っかり突然跳ねだした。


「ミッフィー、そんなことしてもヤスケンは生き返らないよ!もうやめてよ!」


 モモがミッフィーを見ると異変に気づいた。安永のお腹の上を跳ねているミッフィーの姿が次第に消えてきた。

 そして、ミッフィーがモモを見ると完全に消えてしまった。すると、


「戸塚先生、心電図が!」

「なんだって?!」

「呼吸も回復しています!」


 なんと、安永の心臓と動き出し、呼吸も回復した。そして、


「あ……腹減った……」


 安永の意識が戻った。


「ヤスケン!」

「拳!」

「拳ちゃん!」


 安永の家族、親戚、しげる、菊ちゃんが次々と抱きつく。抱きつかれた安永は苦しそうだ。

 そして、安永は集団の奥にいるモモを発見した。


「よかった……よかった……」


 モモは喜びの涙を流していた。


「モモッチ……」


 安永は一言いうと、再び目を閉じた。


「ええ、ちょっとちょっと!」


 周りが慌てて騒ぎ出すと、


「ンガー!フンガー!」


 なんと、安永がいびきをかいている。


「ははははは!」


 病室は爆笑に包まれた。

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