泣きじゃくるモモ

 手術が開始されてから一時間、オペ室の前ではモモだけでなく、安永の両親、兄、叔母のナンシー、そしてルギーが集まっていた。

 そこへ、あすか先生がやってきた。


「あすかちん」

「ナンシー、で手術の様子は」

「うん、始まって1時間くらいかな。大丈夫かしら?」

「うちの旦那、腕はいいから大丈夫よ」

「そう、そっちは任せるしかないけど。こっちがね……」


 ナンシーが指を指した先ではずっと泣いているモモの姿があった。あすか先生がモモに近づく。


「ぐすん。あしゅかせんしぇい」


 モモは涙で目が真っ赤、鼻からは鼻水が垂れていた。


「モモッチ、目が真っ赤じゃない」

「だって、だって。あたしのせいでヤスケンが……ヤスケンが……」

「大丈夫だから、きっと助かるから。もう、ひどい顔じゃない」


 あすか先生はティッシュでモモの涙と鼻水を拭いた。それでもモモは泣き続ける。


「でも……でも……ヤスケンが死んじゃったら……」


 バシン!あすか先生がモモの頬を叩く。


「バカっ!あぁたがそんなこと言ってどうするの!あぁたが信じてあげなきゃダメでしょ!ヤスケンがきっと助かるって」

「はい……そうですよね……。信じなきゃいけませんよね……」

「モモッチ、今日はもう帰りなさい。ねっ」

「はい、わかりました」

「じゃ、俺送るよ」

「ありがとうルギー。お願いね」

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