しげるの悲劇

 城ヶ崎しげるは大学で体操部の練習をしていた。練習のあと、女性マネージャーに呼び出されたしげる。


「城ヶ崎くん、お疲れさま。はい、これ」


 マネージャーは小さな箱をしげるに差し出した。


「これは?」

「ちょっと早いけど、ヴァレンタインチョコよ。来週は来ないからね」

「あ、ありがとうございます」

「ま、わたしのは取るに足らない一個だけどね。城ヶ崎くんモテるからたくさんもらいそうだし」

「え、取るに足らないって、そんなことないですよ。本当にありがとうございます。しかも俺、モテないですって」

「本当?」


 意地悪そうににやけるマネージャー。


「ちょっと、からかわないでくださいよ」


 照れるしげる。


 帰りの新幹線の中でしげるはマネージャーからもらったチョコの箱を開けた。

 箱の中には普通のチョコとホワイトチョコが入っていた。まず、ホワイトチョコを食べるしげる。


「うん、甘くておいしい」


 満足な顔をするしげる。続いて、普通のチョコを食べるしげる。しかし、チョコを食べた途端しげるが悶絶した。


「か、辛い……」

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