デパート

 2月7日。菊地萌子は友人とデパートで買い物をしていた。

 向かう先には大勢の女性が群がっている。上に看板があり、『ヴァレタインセール』の文字が。

 女性たちはチョコレートを買っていた。菊ちゃんの友人がいろいろとチョコを漁っているのに対し、

 菊ちゃんはチョコを眺め、なかなかチョコを手に取ろうとしなかった。


「お菊、どうしたの?どんどん買わなきゃ、みんなに渡せないよ?」

「うん、でもあたしは一個でいいから」

「え?」


 菊ちゃんはチョコを手に取ってみては元の場所に戻し、なかなか決められずにいた。


 結局、菊ちゃんはチョコを買わずにデパートを後にした。一方友人は大きな袋2つかかえて歩くのが大変そうだった。


「お菊、結局一つも買わないで……。安永先輩へのチョコどうするのよ?」

「安永先輩って……。一言も言ってないのに」「あたしゃあぁたの親友だよ。それくらいわかるだよ」

「でも……」


 肩を落とす菊ちゃん。


「ほら、頑張りなよ、お菊」


 友人は手がふさがっているので、頭突きをして菊ちゃんを励ました。


「あいたたた……。わかった、あたし頑張ってみるよ。ありがとう」

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