2月の悲劇
のり巻き
2月3日火曜日。藤田六郎ことロビンソンは気持ち悪そうな顔で起きた。
「頭痛いな……。昨日はナンシーちゃんと飲みすぎたかな。二日酔いだ……」
ロビンソンはふと時計と見た途端焦り始めた。
「え、もう時間?やばい、やばい。
今日は鈴井校長に頼まれてアレの仕込みをしなきゃいけなかったんだ。
今からやるんじゃ間に合わないぞ」
ロビンソンが急いで厨房に駆け込むと、そこにはたくさんの太巻きが巻かれていた。
そして、そのそばに書き置きのメモがあった。ロビンソンがメモを読む。
『ちゃんと巻いておいたよ。 のり巻き』
「ふふふ、粋な奴だな」
娘の心遣いに感謝するロビンソンであった。
11:45。釜揚高校では急に全校放送が流れた。鈴井校長の声だ。
「3年D組城ヶ崎くん、安永くん……」
次々名前を読み上げる校長。
「……1年A組田勢くん、以上の生徒は至急職員玄関に集まってください」
数分後、鈴井校長に呼び出された十数人の生徒は職員玄関に集まった。
すると、玄関の前にロビンソン亭のバンが現れた。
ロビンソンがバンから降りると、たくさんの太巻きが入った箱を運んできた。
「ああ、拳ちゃん。これ学校の全員に配るから、手伝って」
「全員ってマジ?」
「校長に頼まれちゃってさ」
「全くあの校長はなに考えているだか」
「今さら文句言っても始まらんよ、リーダー。さあ配ろうぜ」
「お前のその前向きなところ、本当感心するよヤスケン。じゃ、いくか」
「ていうか、1年なんで俺だけ~?」
生徒たちはロビンソンとともに太巻きを配り始めた。
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