ずんだの正体
一方、駅に向かって全速力で走る菊地萌子。友人と待ち合わせしているようだ。
「ごめん、待たせちゃって」
「遅いよ、お菊。でもまだ藤先輩来てないから大丈夫よ」
「そうか、なんとか間に合ったみたいね」
すると、駅の改札口から藤すみれが現れた。
「おかえりなさい、藤先輩」
「ただいま。あ、菊地さん買ってきたよ、ずんだあん」
「ありがとうございます」
菊ちゃんが藤さんから包みを見ると、緑色のかたまりが。
「緑色なんですね」
「そうよ、もしかして知らなかった?」
「はい」
恥ずかしそうにはにかむ菊ちゃん。
「ふふふ、ずんだはね、枝豆で作ったあんこなのよ。最高級の枝豆で作られたずんだを仕入れてきたから、きっとおいしいわよ。 でも、量が少ないから1ホールは無理かも。ショートケーキくらいなら大丈夫かと思うんだけど」
「いえ、これで十分です。本当にありがとうございます」
「どうもいたしまして」
藤さんと別れを告げた菊ちゃんは友人とともに家の台所でスポンジケーキを作り始めた。
慣れない手つきで悪戦苦闘しながらケーキを作る二人。数時間後、やっとのことで完成した。
「……格好は悪いけど、まあ食べられそうね」
「そうよ、見た目じゃないわよ。気持ちよ、気持ち!明日はがんばってよ、お菊」
「うん」
二人は不格好なずんだケーキをそっと箱に入れた。
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