ずんだって?
11月18日。菊地萌子は片手にペットボトルを握りながらもの考えている様子で歩いていた。
「ずんだケーキか……。ていうか、ずんだって何?」
ぶつぶつと独り言をいう菊ちゃん。そこへ友人が声をかける。
「おはよう、お菊。どうしたの?」
「うん、『ずんだケーキ』っていうのを作りたいんだけど、ずんだってよくわからなくて」
「そういう時はあの人に頼めばいいじゃない?」
「あの人って?」
「いやだもう、あの人といえばあの人よ」
「だから、誰よ?」
「もう、昼休み紹介してあげるから!」
「うん」
少しとまどう菊ちゃんであった。
昼休み、菊ちゃんは友人に連れられ、2―Bの教室にやってきた。
「藤先輩、こんにちは」
「あら、どうしたの?」
「実はこの娘が先輩に相談したいことがあって」
友人が菊ちゃんに紹介したのは、藤すみれだった。少し緊張した面持ちの菊ちゃん。
「はじめまして、菊地です」
「こんにちは、菊地さん。で相談っていうのは?」
「あの……『ずんだケーキ』っていうのを作りたいんですけど、どういうものか知らなくて」
「ああ、『ずんだケーキ』ね。あれおいしいのよ。
そうだ今度仙台にいくから、お土産にずんだあん買ってきてあげるよ」
「はい、ありがとうございます」
「楽しみにしてててね」
友人と教室をでる菊ちゃん。
「お菊、よかったね。藤先輩のことだからきっといいずんだ持ってくるよ」
「うん……でもずんだって?」
「あ、あたしもわからない……」
沈黙する二人。
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