マーチングバンド本番

 校庭に備えてあるスピーカーから放送が流れる。


「まもなく、吹奏学部によるマーチングバンドが始まります。みなさま、校庭に集まってください」


 放送につられ、校庭に人々が集まってくる。

 集まってきた人々を見て、マーチングバンドのメンバーの緊張は最高潮に達した。

 指揮者の玉木浩が朝礼台の上に立つ。その前にモモたちが木琴などを用意する。

 いよいよマーチングバンドの本番だ。玉木が腕を振ると、小太鼓隊が小刻みに太鼓をたたきながら行進していく。その後、管楽器隊が大きな音を出しながら行進していく。そして、カラーバトン隊が行進しながら旗を振っていく。モモの木琴も周りの演奏と調和している。

 演奏している曲は「恋のずんだケーキ」。アップテンポな曲であるが、演奏、行進、旗振りが見事にあっている。

 演奏が終わった瞬間、観客が盛大な拍手を送る。


「うっ、うっ、うわー!」


 なっちゃん先輩が大きな声をあげながら泣いていた。

 なっちゃん先輩の頭をなでるナンシー。


「あれ、いつの間に」


 突然のナンシーの登場に驚くルギー。


「なに、ずっといたじゃない!」

「痛っ!」


 ナンシーはルギーのお尻をつねった。


 校庭にいたマーチングバンドのメンバーはハイタッチし、抱き合っていた。

 安永はなぜかカラーバトン隊のメンバーから胴上げされていた。

 モモは周りのメンバーと抱き合いながら、号泣していた。

 そんな中、一人の男がルギーに声をかける。


「オヒサシブリデスネ、ルギー」

「あなたは……」


 ルギーは男を見て、驚きの色が隠せなかった。

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