文化祭
11月16日。釜揚高校はいろいろな出店や飾りでにぎわっていた。先週の金曜日から文化祭が開催されていた。弓道部の演武や茶道部のお茶会などもあり多くの人が釜揚高校に集まっていた。
「いらっしゃいませー!自家製パセリの天ぷらはいかがですかー?!」
大きなペットボトルを持って、菊ちゃんが出店の宣伝をやっている。
一方、他の場所では初老の男性が、
「いらっしゃい!ロビンソン亭のマグロ焼きどうですか?
マグロカツサンドもおいしいよ!らっしゃい、らっしゃい!」
ロビンソンと娘ののりさんが出店を出していた。
学校の奥のほうでは、なぜか田勢が一人座っていた。田勢の前にはヒヨコが数匹。
「なんで俺、店番なんか……」
嘆く田勢。人通りも少なく、寂しさが深まる。
しばらくすると、ミルクセーキの缶を飲んでいるミルクが現れた。
「店番ごくろう。ありがとね」
「どうも」
田勢は椅子から立ち、走って校庭に向かった。
校庭の隅で、モモや安永たちマーチングバンド隊が準備をしていた。
全員緊張の色が隠せない。少し離れたところではなっちゃん先輩こと日向夏子がそわそわしている。
「君が出るわけじゃないんだから、君が緊張してどうするのよ」
ルギーがなっちゃん先輩に言う。
「だって、もう心配で心配で。自分の本番の時より数倍緊張しますよ」
なっちゃん先輩の声がうわずっている。
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