しげるとエージェントフジ 新幹線での遭遇

 20:00、下りの東海道新幹線に城ヶ崎しげるが乗っていた。

 疲れているみたいで座ったまま眠っている。

 突如、携帯電話が震えだし目が覚めるしげる。

 すると隣に見たことのある人物が。


「あ、エージェントフジ」

「こんばんは、城ヶ崎先輩。ってもう『エージェントフジ』じゃありませんから」


 隣に座っていたのは、合気道部の藤すみれだった。


「ははは、そうだね。で、藤さんは何で新幹線に乗っているの?」

「今日は横浜で合気道の大会があったんです」

「横浜でって、結構大きな大会だったの?わざわざそこまで出かけるってことは」

「そうですね。全国大会とはいきませんけど」

「すごいね」

「どうも」


 少し照れた顔をするすみれ。


「そういえば先輩はなぜ?」

「ああ、週末は大学で体操の練習に参加しているんだ」

「すごいじゃないですか!大学ってレベル高くない?」

「そうだね。でもいろいろ刺激を受けるよ。来年からお世話になることだし」

「来年ってもしかして推薦が決まったんですか?」

「ああ」

「おめでとうございます!」

「ありがとう」


 少し照れた顔をするしげる。


「あたしも来年全国大会目指して頑張ろう!」

「どうしたの、いきなり意気込んじゃって」

「そうすれば、推薦で東京いけるし、先輩にも会える……。いや、なんでもありません。とにかく先輩に見習って頑張ろうと思っただけです!」


 顔が赤くなるすみれ。


「じゃ、がんばってね」

「はい」

「あー、来週面倒だな」


 突然、溜息をつくしげる。


「どうしたんですか?いきなりため息ついちゃって」

「ああ、来週噴水公園でペット自慢大会があって、俺がその審査員をやることになって。母さんが勝手に決めちゃうから」

「いいじゃないですか、いい気分転換になって」

「あういうステージって緊張しちゃうんだよ」

「なに言ってるんですか?インターハイ出た人が、プレッシャーに弱いみたいなこと言っちゃって」

「それとこれとは別モノだって」

「でも、たかが地元のイベントじゃないですか。気楽にいきましょうよ」

「そうだね」


 そうこうしているうちに新幹線は静岡駅に到着した。


「降りなくちゃ」

「そうですね」

 しげるとすみれは新幹線から降りた。

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