ジャックじゃないよしげるだよ

 11:30。エージェント・フジとしげるは文化部室棟にいた。

 文化部室棟の前には机と椅子で積み上げたバリケードがつくられていた。


「ここが彼ら『自由解放組』のアジトよ。このバリケードを乗り越えてアジトに潜入できるのは、インターハイ出場のあなたしかいないわ」

「そう?でもすごいバリケードだな」


 未だに戸惑うしげる。


「誰か来るわ。隠れて」


 フジに手をひかれ、物陰に潜むしげる。文化部室棟にメガホンをもった鈴井校長が現れた。


「君たち、馬鹿な事をするのはやめなさい!はやくバリケードと人質を解放しなさい!」


 すると、文化部室棟から声が聞こえてきた。


「我々の要求を飲むならば、バリケードと人質を解放しよう。それまでは我々は徹底抗戦する!」


「ジャック、この隙にバリケードを乗り越えていくよ」

「だから俺はジャックじゃないって。あっ、行っちゃった」

 嫌々フジについていくしげる。

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