エージェントとの遭遇

 11:00。校庭に集合してから30分。一向に解散の合図が出ない。

 疲れの色が出始める生徒たち。そこへマイクを持った鈴井校長が現れた。


「えー、生徒が一人行方不明になっています。

 その生徒が見つかるまで校庭で待機してください」

「えー!」


 一斉に騒ぎ出す生徒たち。すると、校庭のスピーカーから放送が流れてきた。


「我々は『自由解放組』である!

 教師たちが我々の活動を本気に取らないようなので、人質をとった。

 人質を解放したければ、我々の要求にこたえろ。

 我々の要求は『校則の撤廃と生徒主導による文化祭の開催』である!

 教師たちは早急に要求を飲むべきだ。

 我々は要求にこたえるまで戦う!以上!」


 ざわめく生徒たち。すると、ひとりの女生徒がしげるの前に現れた。


「城ヶ崎先輩ですよね。頼みたいことがあるんですが」

「君はたしか……合気道部の藤さんだっけ……」

「いいえ、私は『エージェント・フジ』。

 テロリストから生徒たちを守るため、あなたの力が必要なの。

 手伝ってください」

「テロって……そんな大げさな」

「大げさじゃないわ!このままだと犠牲者が増えるばかりだわ!

 この状況を打破できるのは教師じゃないわ、私たち生徒たちよ!」

「おお、こりゃ『タイム・リミット』の展開だ。がんばれよ、ジャック、じゃなくてリーダー」

「ちゃかすなよ、ヤスケン」

「じゃ、行くわよジャック」

「って、おれはジャックじゃないって」


 エージェント・フジに強引に手をひかれ、どこかへ連れて行かれるしげるであった。

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