避難訓練の鉄則

 放送が終わった瞬間、大きな爆発音が鳴った。

 どよめきだす生徒たち。担任の越ひかり先生が教室に入ってきた。


「化学室で爆発が起こって、火事になっているわ。

 みんな落ち着いて校庭まで避難してね。

 ちなみに避難の基本は『おかし』だから」

「先生、『おかし』ってなんですか?

 もしかして、避難する時はお菓子もって食料確保だったりして」

「違うわよ。『押さない、かけない、しゃべらない』を略して『おかし』よ。

 じゃ、みんな避難するよ。『おかし』だからね」


 生徒たちは校庭に向かって避難している。

 ただし、みんな避難訓練だと思ってしゃべっている。


「ほら、しゃべらない!『おかし』でしょ」


 ひかり先生がしかる。


「『おかし』ね、『おかし』」


 生徒たちはにやりと笑いながら歩いていく。

 校庭に集まった生徒たちは点呼を取っている。


「点呼終わったら、このまま下校だっけ。早く帰って、寝たいよ。ふぁー」


 安永があくびをしていると、


「ヤスケン、このあとカラーバトンの練習でしょ。さぼっちゃだめよ」


 三日月モモが安永を諭した。


「あ、そうだった。練習だっけ。行きますよ」


 眠たげそうな顔をして答える安永。

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