大会が終わって

 夕方、安永とモモは駅に向かって一緒に歩いていた。


「球技大会、惜しかったね」

「うん、でも決勝に進んだこと自体奇跡みたいなものだったから、成績は上々じゃない」

「そうだね」


 どうやら、3―Dは優勝を逃したみたいだ。


「それにしても、あのサッカー部のマネージャーの子すごかったね」

「菊ちゃんね。あの子、女子サッカーのユースチームに所属しているから運動神経いいんだよ」

「でも、ものすごい気迫だったよ」

「ははは、すごい気迫だったね。味方も引いてたし」


 萌子は気迫あるプレーで今大会のMVPに選ばれていた。


 二人は電車に乗って、楽しく会話をしている。


「ところで、夏休みはどうするの、ヤスケン?」

「ん、いつもはおやじと一緒にマグロ漁に行くんだけど。今年は漁に行かないことになったんだ。進学希望でもないし、結構ヒマかな?」

「ふーん、ヒマなんだ」

「うん、ヒマ」


 するとモモは安永の肩を軽くたたき、


「よし、決定!」

「は、なに『決定』って?」

「うーんと……って、ヤスケン駅についたよ。その件はまた後で連絡する。じゃね」

「じゃね」


 駅のホームに降りた安永は電車を見送りながら、首をかしげた。


「何が決定?」

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