合宿

団員募集

 7月14日。釜揚高校3-Dの教室には一つの張り紙が貼ってあった。


『マーチングバンド カラーバトン隊募集 カッコ良く旗を振ろう!』


「これなんだ?カラーバトン?マーチングバンド?」

「この前、海神祭やってたやつじゃね?」

「あー、あれか。なんか音楽に合わせて、旗振ってたな」


 生徒たちが張り紙に興味を示している。安永拳が3-Dの教室に入ってきた。


「おはよう、ヤスケン」

「おはよう、リーダー」

「ヤスケン、あれ見た?」


 リーダーこと城ヶ崎しげるが張り紙を指差した。


「カラーバトン?なんだ?」

「ヤスケン、『なんだ?』じゃないよ。この前、海神祭でやってただろう、旗だよ旗」

「ああ、アレか。カラーバトンっていうんだ」

「知らないでやってたのか、ヤスケン?」

「うん、あのときは成り行きであんな事させられて……。もとはモモッチが」


「モモッチがなに?」


 三日月モモが二人の会話に口を挟んだ。


「ああ、おはよう、モモッチ。それにしてもあの張り紙は?」

「あたしが貼ったの。今度の合宿から練習開始だから、どんどん来て頂戴。ちなみにヤスケンは強制参加だから」

「ええ?!」

「この前ヒマって言ってたじゃない?」

「『決定』ってこの事だったのか……」


 モモの強引な誘いに安永はやむなく折れた。


「頑張れよ、ヤスケン」


 しげるが励ます。


「ああ。っていうか、お前もインターハイ頑張れよ!」

「そうだな、他人のことより自分のことだな」

「ははは」

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