しげるのインタビュー

 安永に声をかけたのは城ヶ崎しげるであった。


「なんでって聞きたいのはこっちだよ」

「いや、こっちは荷物運びの手伝いをしてたら、流れでいつの間にか……」

「そっか、でもかなり格好良かったよ、旗振り」

「ありがとう。でリーダー、なんでここに?」

「いまから、インターハイ出場のインタビューだってさ。なぜか、校長のおまけつきで」

「そうなの?がんばれよ、リーダー」

「ああ、校長のダジャレはなんとか阻止してみせるよ」


 続いて、メイン会場では城ヶ崎しげるのインタビューが始まった。


「本日は釜揚高校初のインターハイ出場者、体操部の城ヶ崎しげる君に来ていただきました。よろしくおねがいします」

「よろしくおねがいします」

「そして、お隣には付き添いで鈴井校長にも来ていただきました」

「どうも」

「城ヶ崎選手、インターハイ出場おめでとうございます。インターハイ出場が決まった瞬間はどんな気持ちでしたか?」

「うれしかったですよ。最後のゆかは苦手だったので、ほとんどあきらめていたのですが、うまくいってそして出場が決まって感無量でした」

「最後のゆかは苦手だということでかなりプレッシャーがあったと思うのですが、プレッシャーを克服した秘訣を教えてほしいのですが」

「そうですね。おじが応援に来てくれて、変に自信のある声援を送ってたので、それで緊張がほぐれたのが克服できた要因だと思います」

「まさにおじ様の魔法の言葉だったわけですね。どんな言葉か覚えていますか?」

「たしか『へのつっぱりはいらんですよ』です」

「……。言葉の意味はよくわかりませんが、自信がありそうな声援ですね」

「では、最後にインターハイに向けての意気込みをお願いします」

「わかりました。……がんばります!」


 両拳を前に突き出し、しげるは気合をいれた。


「ちょっとちょっとちょっと、カットカット!」


 突然鈴井校長が口をはさんだ。


「城ヶ崎君、なにが『がんばります!』だよ。もっと気のきいたこと言わなきゃ。たとえば体操部っぽくさ『がんばりマッスル!』なんちゃって」

「……」


 鈴井校長のダジャレで会場が静寂に包まれた。


「えー、あと余談で申し訳ありませんが」


 鈴井校長が静寂に気にせず話続ける。


「釜揚高校1学期の期末テストを6月30日から行います!祭にきていない先生、生徒にみんな伝えといてちょうだい」

「ええ!」


 一同が驚きの声を上げた。

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