マーチングバンドきつい

 1時間後、ルギー率いるマーチングバンドによる海神祭のオープニングセレモニー演奏が始まった。ルギーの指揮に合わせ、まずドラムのチームが行進しながら、ドラムをたたき出した。その後、管楽器チームがドラムチームの後ろで行進をしながら、演奏を始めた。その横で大きく振られる旗、そして行進している演奏チームとのバランスをとりながらなっちゃん先輩が木琴をたたく。その迫力ある演奏に観客たちは感嘆の声を上げた。しかし、その中でモモは心配そうに演奏を見つめていた。


「大丈夫かな、ヤスケン?」


 マーチングバンドの一団をよく見ると、そのなかに少しぎこちなさそうに旗を振っている安永の姿があった。


『結構きついな、これ』


 必死に旗をふる安永。


 10分後、マーチングバンドの演奏が無事に終わった。一人疲労困憊の安永。そんな安永の肩を誰かがたたいた。


「ヤスケン、おつかれ」

「おお、リーダー。なんでここに?」

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