会場準備

 海神祭の会場である釜揚港に着いた一行はバスを降りた。


「じゃ、これ運ぶの手伝って」


 なっちゃん先輩がバスのトランクから荷物を出し、モモたちに渡していった。マーチングバンドのメンバーのあとについて荷物を運ぶ、モモ、安永、そして吹奏楽部の後輩たち。会場に着いた一行が見たものは、30人ほどが白い制服を身にまとっていた姿だった。


「あ、荷物そこに置いといて」


 メガネをかけた長身の男性が指示を出す。


「おはようございます、ルギーさん」

「おはよう、モモちゃん。今日はありがとうね」


 長身の男性はマーチングバンドの指揮者、ルギーだった。


「ヤスケン、こっち」


 モモが安永を呼んだ。


「ルギーさん、こちらナンシーさんの甥のヤスケン。ヤスケン、こちらナンシーさんの彼氏のルギーさん」

「え?ナンシーおばさんの彼氏?!」


 驚く安永。そのあと、安永は軽く頭を下げて、


「ナンシーの甥の安永拳です」

「君が拳ちゃんか。ナンシーからよく話を聞いているよ。今日は手伝ってくれてありがとう」

「いえ、どうもいたしまして」

「モモ、こっち手伝って!」

「はーい!なっちゃん先輩、いま行きます!」


 モモがなっちゃん先輩の手伝いをしに木琴のある場所へ向かった。


「じゃ、拳ちゃん。あっちで旗を組み立てるのを手伝ってくれないか?」

「はい、わかりました」

 安永は旗の組み立て現場へ走っていった。

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