ミッフィークエスト

インターハイ出場おめでとう

 5月26日。釜揚高校の校舎に大きな垂れ幕が飾られていた。垂れ幕には次の文言が書かれていた。


『祝 インターハイ出場 男子体操個人総合 城ヶ崎しげる君』


 朝から3―Dでは人の群れが。その中心にいるのは前日インターハイ出場を決めた城ヶ崎しげるだ。クラスメートから祝福されるしげる。しげるの様子を伺おうと他のクラスの生徒も廊下の前に群がっていた。そこへ、朝礼のチャイムが。


「ほらほら、授業が始まるよ。入って入って」


 3―Dの担任、ひかり先生の一声で廊下にいた生徒たちは教室へ戻っていった。


「はーい、みんな席について」


 その一言で、3―Dのクラスメートは席に着いた。


「みなさん、おはようございます。まあ、みんな盛り上がるのもしょうがない。なにせ我が高初のインターハイ出場だからね。リーダー、おめでとう」


 クラスメートからの盛大な拍手で迎えられるしげる。しげるは照れ隠しで頭をかきながら笑みをこぼした。しげるへの祝福ムードに包まれる中、一人窓の外を呆けて眺めている生徒がいた。安永拳だ。三日月モモは窓を眺める安永を発見したが、寂しそうな安永の背中を眺めることしかできなかった。

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