謎の男

「た、貴之さんですよね」


 男はアキトに気づいた。


「ああ、君はしげるのいとこのアキトちゃんだっけ?あ、しげるにおめでとうって言っといてくれ」

「ま、それは言っておきますけど。それよりも奥さんのことですよ!かなり悩んでいたみたいですよ」

「あすかのこと、知ってるの?」

「ええ、今教育実習でお世話になっています」

「そっか、わかった。今度帰るかな。んじゃ、またね」


 しげるにどことなく似ている男、貴之はアキトに手を振りそのまま体育館を後にした。


「まったく、大丈夫かしら?」


 アキトは心配そうにその後姿を見送った。

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