あすか先生の愚痴

 一方同じ頃、ひかり先生、中本コーチ、アキト、そして校医のあすか先生は居酒屋で飲んでいた。どうやら、あすか先生がずいぶん酔っ払っているようだ。


「あんたたちは幸せそうでいいわよね。ひかり、中本くんいつ結婚するのよ?」

「いや、あすか先生、僕らはまだ結婚とかそういうことは……」

「なに言ってんの、中本くん!結婚なんていうのはね勢いなのよ。チャンス逃したら、いつまでたってもできないわよ。ま、うちにみたいに結婚しても苦労することばかりだけど」


「あすか先生、結婚されていたんですか?」


 アキトが不意に聞いてみた。


「そうよ。まったく、あのバカ旦那、しょっちゅうどこかに行っちゃうし。この前も久しぶりに帰ってきたと思ったら、1時間くらいしてすぐ出て行っちゃったし。もうなんなの、あのバカ。ルギーのバカー!」

「ちょっと、あすか飲みすぎだって」


 ひかりがたしなめる。


「飲まずにはいられないのよ。まったく、あの男は……。なんであたし、あいつと結婚しちゃったんだろう?」


 さらに愚痴るあすか。


「あの、旦那さんってどんな顔してるんですか?見せてくださいよ」

「アキトちゃん、見てみる?そんなたいした男じゃないわよ」


 あすかが携帯をアキトに渡す。アキトは携帯に写っている顔をみて驚いた。


「この人、まさか……」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る