2階で売れるか?

 一階の教室で売り歩きをした三人であるが、まだまだ品物が余っているので、二階へあがった。

 すると、ロビンソンが突然手を叩いた。


「イカの塩辛巻きの売れ行きがイマイチだな。そうか、わかったぞ!」

「なにがわかったの、ロビンソン?」


 安永がロビンソンに聞く。


「いいかい、拳ちゃん。イカの塩辛っていうのは酒の肴なんだよ。ていうことは子供よりも大人向けの味って事さ。つまりだ、先生たちにはイカの塩辛巻きのほうが売れるってことよ。よし、職員室へ行くよ!」


 ロビンソンの声に気合いが入った。


「いや、それはかなり強引なこじつけじゃ・・・」


 しげるのツッコミに聞く耳を持たず、ロビンソンは二人に職員室へ案内させた。


「マグロカツサンドはいかがっすか!」

「新メニューイカの塩辛巻きもあるよ!」

「両方ともうまいこと間違いなし!」


 職員室へ入った三人は先生たちに対し販売活動を開始した。すると三人の女性が声をかけた。


「お、リーダーにヤスケン。売り歩きの手伝いか。えらいぞ」

「ひかり先生、どうも。お一ついかがですか?」

「そうね。マグロちょうだい。あすかはどうする?」

「うーんと、あたしはイカの塩辛で」


 三人のうち二人は担任のひかり先生と保健室のあすか先生だった。そしてもう一人は、


「あら、しげるじゃない。なにやってんの?」

「アキト姉さん!なにやってんのって見てのとおり売り歩きだけど。ってそっちこそ何で学校にいるんだよ?」

「今日から教育実習なの。おばさんから聞かなかった?」

「え、母さんから?聞いてないよ」

「まあ、しょうがないわね。しばらくよろしく」


 アキトがしげるの肩を叩く。


「あら、2人は知り合い?」


 ひかり先生がアキトにしげるとの関係を聞く。


「ええ、いとこなんです。しげる、明日からの英語あたしが担当するから、覚悟しておきなさい」

「ええ、マジで!」


 その後、アキトはイカの塩辛巻きを買い、他の先生もいくつか買っていき、しげるたち三人は職員室を後にした。

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