マーチングバンド

モモはどこへ連れて行かれる?

 4月のある土曜日10:00。三日月モモは急いで家を出ようとしていた。ペットのミッフィーが転がってきて、散歩をねだる。


「ごめんね、ミッフィー。今から大事な用があるから。散歩は今度ね」


 モモは玄関を飛び出していった。

 20分後、モモは駅の前で誰かを待っていた。すると、一人の女性がモモに近寄ってきた。


「あれ、モモちゃんじゃない?」

「あ、けいちゃん」


 その女性は、美容師のけいちゃんだった。


「今日はデートなの?」

「いえ、違います。先輩と待ち合わせで」

「ふーん、そうなんだ。ところでさ、マイコのライブのチケット取れたんだ。今度一緒に行こうよ」

「本当ですか?行きます、行きます!ありがとうございます!」

「じゃ、詳しいことはまた連絡するね。じゃね」


 けいちゃんが去った後も、モモは待っている。


「なっちゃん先輩、良い所に連れて行ってあげるとか言ってたけど、どこに行くのかな?」


 期待と不安が入り混じりながら待っていると、一台のバンが到着した。

 バンのドアから背の高い細身の女性が現れた。


「モモ、お待たせ。さあ、乗って」

「はい、なっちゃん先輩」


 モモが恐る恐るバンに乗ると、なっちゃん先輩のほかに何人か一緒に乗っていた。


「じゃ、お願いします」

「あいよ」


 なっちゃん先輩が合図をするとバンが走り出した。


「あの、なっちゃん先輩。今日はどこに連れて行ってくれるんですか?」

「ふふふ、着いてからのお楽しみに」

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