ひなまつり 公園

 約束の日曜日、12:15。モモはペットのミッフィーを抱え、公園で安永を待っていた。


「安永くん、遅いな。もしかして忘れちゃったのかな……。このままだとなっちゃん先輩との待ち合わせに間に合わなくなるよ」


 少し不安になったモモの目線の先に、足の長い男の走る影が見えた。安永だ。急いできたらしく髪はボサボサだ。


「あー、ごめんごめん。寝坊しちゃって」


 安永はモモに頭を下げる。


「寝坊って、もうお昼なんですけど。結構なお寝坊さんだこと。もしかして、あたしとの約束忘れてたんじゃない?」


 モモはわざと意地悪なことを言った。


「い、いや、そんなこと無いよ。ちゃ、ちゃんと来たし」


 あせる安永。そんな安永にモモは追い討ちをかける。


「ちゃんと?15分も遅刻して?」

「いや、それはごめん!ほんとにごめん!」


 安永は何度も頭を下げた。


「わかったよ。じゃ、ミッフィー、安永くんと遊んできな」


 ミッフィーは安永に向かって転がっていった。転がるミッフィーを見て、微笑む安永。そして、安永の笑顔にときめくモモ。

 しばらくして、ミッフィーと戯れていた安永の携帯が鳴った。


「もしもし、のりさん?え、駅?あー、すみません今すぐ行きます!」


 それと同時にモモの携帯も鳴った。


「もしもし、三日月です。なっちゃん先輩?もう1時って、すみません!」


 二人が携帯を切ると、声を合わせたかのように、


「「ごめん、このあと約束があって、駅に……」」


 はっとする二人。


「あれ、安永くんも駅?」

「三日月さんも?」

「じゃ二人で行こうか」


 駅に向かおうとするモモに対し、安永は


「三日月さん、ミッフィー忘れてるよ」


 急いでミッフィーを抱え、駅へ向かった。

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