ペットがキューピッド?
ペットのミッフィーに転がった先にいたのはサッカーボールを持った少年だ。サッカー部の安永拳、モモが気になっている男子だ。
「あ、ごめんなさい。大丈夫ですか?」
「ああ、大丈夫ですけど……。あのー、うちの高校の人だよね。見たことあるような」
「あ、は、はい!B組の三日月です!C組の安永君だよね、北海道からきた転校生の」
まだ冬も終わらないのに、モモの頬に桃の花が咲いた。
「うん。あ、俺のこと知ってるんだ。やっぱ転校生は目立つんだな。で、それは三日月さんのペット?」
安永がミッフィーをまじまじと見つめる。
「そ、そうなのよ。ミッフィーっていうの。生まれたばっかりでやんちゃっていうか、なんていうか。転がってばっかりいるからすぐ汚れるし……」
「でも、丸くてかわいいよ。俺もそんなペットほしいな」
「安永君、動物好きなの?」
「うん。でもうち魚類以外動物禁止だし……」
「ぷっ。『魚類』ってなに?」
モモは思わず笑ってしまった。安永はあせる。
「親父が海の男だから、魚以外動物として認めてもらえないんだよね、ははは」
「そうなんだ、それは大変だね。あ、そうだ、今度ミッフィーの遊び相手になってよ。あたしじゃ手に負えなくて。ここにはよく来るから来週にでも」
「本当!ありがとう!じゃよろしくな、ミッフィー」
安永の屈託の無い笑みにモモはときめいた。
「じゃ、来週の日曜12:00にここで」
「オッケー。じゃまたね、三日月さん」
「じゃまた来週」
安永はスキップしながら公園を去った。モモはミッフィーを抱えながら、去っていく安永の背中を見つめる。
「きゃー、安永君と話しちゃった。しかも来週会う約束まで。ミッフィーお前も役に立つこともあるんだねー」
安永を見送るモモのもとにメールが届いた。
『美容院によって。けいちゃんから荷物預かり。取ってきて。 母』
母からのお使いのメールだった。モモはミッフィーと一緒に美容院へ向かった。
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