第二怪 遠い雪解け

序幕

「なぁなぁ、たろさ」


「なんだぁ? せつ」


「おらぁ、たろさの事好きだで」


「うん、おらもせつのこと、すきだぁ」


「なら、おらが大きくなったら、たろさの嫁こさしてけれ!」


「えっ……」


「そんで、子供いっぱいこさえて、ずっとずっと一緒に暮らすだ!」


「……せつ、ほんきなんだな」


「おらぁ、たろさには嘘吐かね。たろさなら解るべ?」


「うん」


「じゃあ、おらの事、嫁こさしてくれるけ?」


「……うん。おらのよめこさなってけれ、せつ」


「ああ! 約束だで!」


「せつ。おらぁ、おめといられてしあわせだ」


「ふふ、おらもだ!」


「ずっと、ずうっと、こんなひびがつづいたらええな。なぁ、せつ……」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る