第3話 『見えるんだ』

私は強引に連れていかれた屋上で、強引に私を連れてきた片山さんと向き合っていた。片山さんは私が影でモテるなどと言っていたが私はそんなこと初耳である。告白されたことなど一度もない。

「…片山さん、やっぱり私がモテるとかは何かの間違えだよ」

「間違えじゃないよ、あんたが気づいていないだけでしょ」

私は首をかしげる。だって告られたことないもの。気づくも気づかないも、告られていない時点で気付かない。

「…ところで、片山さんは『階段の史奈さん』信じていたんだ?」

片山さんは少し赤面して私の発言を否定する。

「そういうわけじゃないわよ。頼りになるやつがいないから仕方なしによ」

そんな私に説明されてもなぁ。

「片山さんは何を相談していたの?」

「え?…ていうかあんた聞いてたんでしょ?!聞かなくてもいいじゃ無い…」

「…一応…」

「…ぶー、はぁ。……告白されるのはいいんだけど、何だか違うのよ」

「…ごめん…わかんない」

「相談する相手間違えたわ!」

そんなことで私は片山さんから解放された。そして無事に音楽の授業間に合った。


音楽の授業が終わって自分の教室に戻る時、あの『階段の史奈さん』がいる階段を通らなくてはならない。見えてしまう私にとっては人がいるのに無視している気分になってしまう。誰がこんな能力望んだんだろう…。階段の脇でもたれ掛かって立っている史奈さんの前を通る。見えていないふりをする。これも中々至難の業な

「君、私のこと見えているでしょ」

私の足が止まる。どうして止めてしまったのだ。どうして反応してしまったのだ。

「…やっぱり…


見えるんだ」

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